BMWハンガリー、フォーラムで工場進出の理由を説明

(ハンガリー)

ブダペスト発

2018年12月04日

在ハンガリー・ドイツ商工会議所が主催するビジネス環境フォーラムが11月20日、ブダペスト市内のホテルで開催された。第1部では同商工会議所が実施したメンバー企業対象の調査結果を基に、進出ドイツ系企業の景況感分析が発表された。第2部では2018年夏にハンガリーへ進出したBMWハンガリーのアンドリアス・プレーガー代表取締役が登壇し、同社のハンガリー進出決定の理由などを説明した。

同氏はまず、東部のデブレッツェンに工場の建設を決めた理由として、(1)優れたインフラ環境(高速道路、鉄道、ドイツ・ミュンヘンとの飛行機の直行便)、(2)拡張可能な工業用地が市の郊外に所在、(3)品質が証明されたサプライヤーネットワークが存在(BMWは日系を含むハンガリー国内のサプライヤーから部品を既に調達)、(4)質の高い従業員の確保が可能、(5)デブレッツェンの恵まれた生活レベル(大学などの教育機関、文化、観光施設など)を挙げた。

また同氏は、会場からの質問に答えるかたちで、既に当地に進出している他のドイツのプレミアム車メーカー(メルセデス、アウディ)の存在は、むしろ進出先選定に際して魅力的な要素だった、と述べた。既進出企業の好調な業績がハンガリー進出を後押ししたもようだ。さらに、BMWはこうした競合他社と友好的な関係を保ち、健全な競争を志向しているとした。なお、メルセデスは中部、アウディは北西部に進出しており、東部に進出するBMWと雇用面で競合しないという。

工場建設は2019年末までにスタートし、操業開始時には生産規模は年間15万台で、1,000人以上の雇用を見込み、その後も継続的な拡張を計画している。BMWは、最も資源効率の良いプレミアムカーメーカーを目指し、長期的な企業戦略、資源消費や環境への影響の最小化がハンガリー工場のキーポイントと説明したが、生産開始時期と生産モデルは公表しなかった。BMWは米国、中国、メキシコなど14カ国に30の生産拠点を持ち、ハンガリー工場は欧州拠点の強化の一環だとした。

地元メディア「G7」(11月26日)は、フォルクスワーゲン(VW)が2022年以降に中・東欧地域に440億ユーロを投資する大規模な自動車工場建設を計画していると報じた。4,000~5,000人の雇用が生じ、人件費の安いルーマニアやブルガリアへの投資の可能性が示唆されているが、既に生産拠点のあるハンガリーやポーランドの工場の拡張も考えられるようだ。今後、自動車製造拠点の選定に際し、優遇措置を用意した誘致の対象国間の綱引きが続きそうだ。

(本田雅英、バラジ・ラウラ)

(ハンガリー)

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