原発事故による新潟県産米の輸入規制を解除

(中国、日本)

広州発

2018年12月03日

税関総署は11月28日、公告2018年第175号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで新潟県産米の輸入を許可すると発表した。対象は新潟県産米のモミ、玄米、および税関総署への登録工場で加工したコメとされている。加工工場については、税関総署のウェブサイトで検索が可能。これまで、東京電力福島第1原子力発電所事故の影響により、新潟県を含む10都県(注)の全ての食品、飼料が輸入停止となっていた。

日中首脳など要人会談に続く緩和措置

2018年5月9日に行われた安倍晋三首相と李克強首相による日中首脳会談で、「農林水産省と海関(税関)総署との日本産精米の対中輸出に関する覚書」が締結され、中国向け日本産精米の輸出のための指定精米工場、薫蒸倉庫が追加されたが、今回の緩和措置はそれに続く措置となる(2018年5月14日記事参照)。また、首脳会談に先立つ3月8日には、新潟県の米山隆一知事(当時)と国家質量監督検験検疫総局輸出入食品安全局の卒華新局長の会見も実施されていた。

なお、10都県以外の産品を中国に輸出する際、野菜およびその製品、乳および乳製品、茶葉およびその製品、果物およびその製品、薬用植物産品、水産物については政府作成の放射性物質検査証明書および産地証明書が求められる。その他の食品・飼料についても、政府作成の産地証明書が必要とされている。

今後も科学的原則に基づいて対処

外交部は11月29日の定例記者会見で、今後その他の地域の輸入規制が解除されるかについては、「中国側は一貫して輸入食品の安全を重視しており、科学的原則に基づき日本食品の輸入問題に対処する。日中の主管部門はコミュニケーションを続ける」と述べるにとどめた。

今回の規制解除についての中国側報道は、現時点では一部メディアが日本側の報道ぶりを伝えるほか、多くは税関総署の発表内容の転載や、規制の状況を客観的に報じている。

(注)宮城県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、新潟県、長野県、東京都の10都県。

(河野円洋)

(中国、日本)

ビジネス短信 635e02d258798cb0