2020年に向け日系自動車関連企業の動きが活発化

(インド)

アーメダバード発

2018年12月19日

インド西部のグジャラート(GJ)州では、日系自動車完成車メーカーや関連企業が動きを活発化させている。GJ州ハンサルプールにある、スズキの100%子会社スズキ・モーター・グジャラート(SMG)は現在の生産台数が年間25万台のところ、2019年初めに稼働予定の第2ラインで50万台体制に、建設中の第3ライン稼働により2020年までに75万台体制を構築する予定だ。インドの乗用車市場で最大のシェアを誇るマルチ・スズキのグルガオン、マネサール両工場では年間150万台を生産しており、2020年までに生産台数を200万台超まで増やしていく。2018年10月にはホンダ・モーターサイクル・アンド・スクーター・インディア(HMSI)が、GJ州の第2工場の生産台数を現在の120万台から2020年までに180万台に拡張することを発表した。

こうした動きを踏まえ、自動車部品メーカー各社も、GJ州での生産拠点の設立を急ぐ。自動車用プレス部品大手のフタバ産業は12月4日、SMGの工場敷地内にハリアナ州に続く工場を新設し、開所式を行った。また、樹脂部品製造の三光合成、自動車用バックミラーを製造する村上開明堂、車載用電装品メーカーのASTI、自動車用プレス部品製造の東プレは、2018年に入りマンダル日本企業専用工業団地(注)において新工場を着工し、2020年までの生産開始を目指す。ほかにも、貸し倉庫需要増を見越した日系物流会社の倉庫確保や拡張が行われているほか、民間企業が運営するレンタル工場の利用を検討する目的で、日系自動車関連メーカーによる視察が増加している。

日系リチウムイオン電池工場も2020年をめどに量産予定

SMGの工場に隣接する敷地には、スズキ、東芝、デンソーの3社が共同で設立したオートモーティブ・エレクトロニクス・パワー・プライベート・リミテッド(AEPPL)が、インド初となる自動車用リチウムイオンバッテリー工場を建設中だ。同社の2020年のバッテリー量産開始を機に、マルチ・スズキはマイルドハイブリッド車用バッテリーを外部調達から新会社製に置き換える方針だ。さらに、同社がトヨタと協力して2020年にインドで発売する電気自動車(EV)向けのバッテリー供給も視野に入れる。 

GJ州には日系以外の完成車メーカーとして、フォードやタタ・モーターズがサナンド工業団地で稼働中のほか、州南部ハロルに地場二輪最大手ヒーローや上海汽車集団の工場があり、上海汽車集団は2019年から英国ブランド「MG」のスポーツカーを生産する予定だ。インド自動車部品工業会(ACMA)ビニー・メヘタ事務局長は「現在、GJ州経済全体に占める自動車産業の割合は3.5%だが、2020年には10%を超えるだろう」と予測している。

(注)GJ州の商都アーメダバードから車で90分ほどの距離に位置する工業団地。2011年11月にジェトロがGJ州政府と覚書を締結し、日本企業専用に工業団地を整備することに合意したもの。ジェトロは、日系企業への入居案内や各種手続きなどを支援する。現在、同工業団地には日系自動車部品メーカーなど9社が入居し、うち5社が稼働している。

(丸崎健仁)

(インド)

ビジネス短信 44fdde37c08c9fbd