自由貿易試験区で金融や人材などへの一段の規制緩和

(中国)

北京発

2018年12月04日

国務院は11月23日、「自由貿易試験区の改革・イノベーション深化を支援する若干の措置に関する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を公布した。習近平国家主席は11月5日、上海市で開催された中国国際輸入博覧会の開会式のスピーチ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、「中国は自由貿易試験区の改革とイノベーションを深化させ、自由貿易試験区が改革開放の『試験田』としての機能を発揮することを支持する」と述べており、今回の措置はこの発言を具体化したものとなっている。

通知は計53項目に及んでいる。中央から試験区への許認可権限の委譲や貿易の円滑化、外資参入制限の緩和、金融・人材分野における試験的取り組みなど、さまざまな分野の措置が含まれる。12試験区全てに適用される措置のほか、特定の試験区だけに実施を認めるものもあり、各試験区の差別化を図る意図もみられる。

建設業では、「試験区内の外資単独資本の建築企業が所在する省(市)の中外連合建設プロジェクトを請け負う際、外資単独資本の建築企業は出資比率制限を受けない」とされた。また、並行輸入された自動車の保税倉庫での保管期限については、従来3カ月以内だったが無期限に保管可能となった。これにより、輸入企業が販売戦略を策定しやすくなり、合理的に資金運用できることから、輸入車のコストが下がり、販売価格の引き下げにつながるとの見方もある。金融では、条件を満たす個人が海外証券投資をするのを支持するなどの措置が出された。人材については、試験区内の製造企業が生産ピーク時に一定作業の完了を期限とする労働契約や短期の固定期限労働契約を結ぶこと、労務派遣労働者が企業の研究開発センターで臨時研究開発職となることも認めるなどとした。

また、国務院の政府機関間合同会議事務局が試験区の総括・調整機能を担って差別化に向けた指導などをするほか、監督検査と評価を行い、効果の高い措置は全国に普及させる役割を担うとされた。試験区でこれまで実施された改革試行措置のうち、83項目が国務院によって全国に展開されており、今後も試験区の規制緩和動向には注視が必要となる。

(小宮昇平)

(中国)

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