第3四半期のGDP成長率は前年同期比1.3%

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年12月05日

ブラジル地理統計院(IBGE)は11月30日、2018年第3四半期(7~9月)のGDP成長率を発表した。それによれば、前年同期比1.3%、前期比0.8%だった(表参照)。前年同期比、前期比ともに2017年第1四半期(1~3月)からプラス成長を維持している。

表 四半期別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕

前年同期比で産業別にみると、農畜産業が2.5%増、工業が0.8%増、サービス業が1.2%増となった。農畜産業の高い成長率は、コーヒーや綿花の単位当たり収量の増加を反映している。工業では、中でも製造業が1.6%増と比較的順調に拡大した。これは自動車、石油・バイオ燃料派生品、紙パルプ、機械・装置、医薬品、金属製品の分野での生産増加が要因だ。サービス業では、不動産(賃貸業を含む)(3.2%増)、運輸・倉庫・郵便(2.9%増)、商業(1.6%増)の順で高い伸び率となった。

需要要素別にみると、個人消費支出が1.4%増だった。IBGEでは、プラス成長の要因として金利水準の低下、雇用指標の改善を挙げている。政策金利Selic(誘導金利目標)は、2017年7~9月にかけて9.25~8.25%だったが、2018年7~9月は6.50%に低下している。雇用指標は失業率をみると、同じ四半期の比較で12.4%から11.9%に改善した。総固定資本形成は7.8%増と高い伸び率となり、IBGEでは要因の1つとして、3月に行われた石油・天然ガス採掘業向け税インセンティブ制度(REPETRO)の変更を挙げている。この変更は、石油・天然ガス掘削設備の国内化に対するインセンティブの供与だが、これにより、石油・天然ガス採掘に関わる機械や設備の国内資産への繰り入れが進んだ。

なお、今回の発表では、過去のGDP実績値に変更があった。2017年のGDP成長率が1.0%から1.1%に上方修正された。内訳をみると、例えば個人消費支出が1.0%増から1.4%増に上方修正された一方、固定資本形成が1.8%減から2.5%減に下方修正されている。

(二宮康史)

(ブラジル)

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