金属産業、11月から平均3.46%の賃上げで労使合意

(オーストリア)

ウィーン発

2018年11月27日

オーストリア最大の労働組合である製造業労組(PRO-GE)によると、金属産業の賃金団体交渉が11月18日夜、平均3.46%の賃上げに合意して終結した。同時に、金属産業の労働者13万人の労働条件を定めた団体協定も改定された。政府が労組の意向を考慮せず9月に労働時間法を改正(最大労働時間を1日当り10時間から12時間に、1週間当たり50時間から60時間に引き上げ)したことにより、交渉は難航した。労組側が3%以上の賃上げを求めストライキを行った企業もあり、交渉は延べ64時間に及んだ。

具体的な合意事項は以下のとおりで、11月1日にさかのぼって適用される。

  • 月収(税込み)が2,285ユーロ以下の場合は4.3%(または80ユーロ)、2,285ユーロを上回る場合は3.0~3.6%(平均3.46%)引き上げ。
  • 見習工の賃金の大幅な引き上げ。就労1年目は100ユーロ増の月額719ユーロ、2年目は90ユーロ増の920ユーロ、3年目は80ユーロ増の1,204ユーロ、4年目は70ユーロ増の1,590ユーロ。
  • 1日の労働時間の11時間目から賃金を100%割増し。夜間労働手当と交代制手当の引き上げ(適用は2019年7月から)。
  • 1日の労働時間が10時間を超える場合は最低10分間の休憩。
  • 日曜、祝日出勤は年に4回可能とし、手当を150%割増し。被雇用者は手当を受け取るか休暇を取得するか選択可能。
  • 残業手当を労働時間で清算(代休の取得)することが可能に。代休取得は半年間で最大3回(残業時間込みの契約などの場合は対象外)。
  • 数年前に暫定導入されたフレックスタイム制の本格導入。

毎年秋に行われるオーストリアの賃金交渉では金属産業が口火を切ることが慣例で、その妥結内容は他業種に影響を与えることから注目を集める。今後の鉄道、公務員、商業などの賃金交渉では、労組側は高い改定率を要求するとみられる。

(エッカート・デアシュミット)

(オーストリア)

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