外食やケータリングサービスのVAT税率を5%に引き下げ

(ルーマニア)

ブカレスト発

2018年11月20日

ルーマニアで11月1日、税制改正に関する緊急法令2018年第89号が施行し、ホテル・宿泊施設、レストラン、ケータリングサービスにかかる付加価値税(VAT)の税率が9%から5%に引き下げられた(標準税率は19%)。これらの税率は2015年6月1日に、当時の標準税率の24%から9%になった(2015年6月12日記事参照)が、今回はさらなる引き下げとなる。

また、ジムなどのスポーツ関連施設、アミューズメントパークなどの文化・娯楽施設の利用料にかかる税率も、19%から5%に引き下げられた。

今回の軽減税率の引き下げに関して、外食産業およびケータリングサービスと、宅配などのデリバリーサービスは明確に区別する必要がある。飲食用のテーブルや椅子、カウンターテーブルが設置されたレストランやファストフード店、フードコートなどでの飲食代に5%のVAT税率が適用される(表参照)。一方、飲食スペースのないベーカリーやピザの宅配、飲食スペースがある店舗から食料品を持ち帰るケースなどでは9%のまま変わらない。レストランやケータリングで提供されるアルコール飲料(10リットルを超える容器に入ったビールを除く)は対象外で標準税率19%が適用される。

表 財・サービスの付加価値税(VAT)税率(2018年11月1日以降)

VAT税率19%から5%への引き下げは、博物館、記念館、城、歴史的建造物、モニュメントなどの文化施設への入場料、また、動物園、植物園、遊園地、公園などの娯楽施設への入場料・利用料が対象となる。ただし、スポーツ以外の目的でスポーツ関連施設を利用する場合(例:スタジアムにおいてコンサートを実施する場合の施設利用)は、今回の引き下げの対象外となる。

ルーマニア政府は、VAT税率の引き下げによって納税しやすい環境をつくることで脱税を防ぎ、徴収率を改善するとともに、観光産業や飲食産業が国内外からの顧客を増やすことにより、同産業の活性化および成長を期待する。一方、税率が引き下げられたとしても、ホテルなどサービス提供側が、提供価格を変えず、減税分の料金が実質的に値上がりすることが考えられ、顧客への実質的な価格面での影響は期待できないだろう、という声も聞かれる。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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