日豪首脳会談、自由貿易の重要性と連携を確認

(オーストラリア、日本)

シドニー発

2018年11月19日

11月16日、安倍晋三首相とスコット・モリソン首相の首脳会談が北部準州ダーウィンで行われた。共同プレス声明によると、経済協力に関して、世界的に保護主義への懸念が高まる中、自由貿易の重要性を支持し、国際貿易の自由化の実践的なイニシアチブを促進するため、引き続き連携していくことをコミットした。

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)については、日本とオーストラリアを含む7カ国による迅速な国内手続きの完了を歓迎した。東アジア地域包括的経済連携(RCEP)については、2019年内の交渉妥結に向けたコミットメントを共有した。

科学・イノベーション協力に関して、両国首脳は複数の2国間協力プロジェクトの進行を確認し、その進捗を歓迎した。11月1日に日本の準天頂衛星システムによるサービスが正式に開始し、同システムを活用したプロジェクトが進行している。また、2国間のイノベーション協力枠組みに基づき、医療、人工知能、(スマートシティー実現のための)IoTなどの分野で日豪協力が拡大している。環境分野では、両国は低炭素社会の実現に向けて水素の利用に関する協力を推進しているが、その最初の開発事業として4月に、ビクトリア州で褐炭から製造した水素を液化して日本へ運ぶ褐炭水素パイロット実証プロジェクトが開始した(2018年4月24日記事参照)。

両首脳は11月16日夕刻、国際石油開発帝石のイクシス液化天然ガス(LNG)プロジェクト(2018年6月11日記事参照)の本格的な稼働を祝う式典に出席した。同プロジェクトでは7月にガス生産を開始、10月にLNGの初出荷を行った。同式典には、両国政府や北部準州の関係者、企業関係者の約300人が出席した。

(中里浩之)

(オーストラリア、日本)

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