エコノミストは為替が安定しつつあると判断

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年11月12日

アルゼンチン中央銀行は11月2日、現地の民間エコノミストによる最新の経済見通しの集計値(REM)を発表した。主要指標の中では、前回(10月2日発表)と比べて、為替レートなどの見通しが改善しており、10月から中銀が導入した金融政策が機能していることが見通しにも反映されるかたちとなった。

発表によると、2018年の消費者物価上昇率の見通しは47.5%(前回44.8%)と2.7ポイント上昇し、直近12カ月間の上昇率40.5%を引き続き上回っている。なお、2019年は27.8%(27.0%)、2020年の見通しについては19.6%(19.0%)となっている。

為替レートについては、前回の2018年末に1ドル=43.0ペソだった見通しが、今回は39.3ペソとわずかにペソ高の予想となった。なお、2019年末の見通しは48.9ペソ(前回50.4ペソ)となっている。中銀は10月から1ドル=34~44ペソの為替バンド制を導入。それによってペソ安にブレーキがかかり、現在36ペソ周辺で安定している。政府としては、為替の安定をもたらすことでインフレを抑制させることを目指しており、そのベースが固まろうとしている。

政策金利に関しては2018年末で65%(60%)、2019年末で35%(35%)と予想されている。中銀のサンドレリス新総裁は、2018年12月までは金利を引き下げないと発表しているが、インフレ抑制の傾向がはっきりすれば政策金利を引き下げる方向へと進み始めるとみられる。

GDP成長率の見通しは、2018年がマイナス2.4%(マイナス2.5%)、2019年がマイナス1.0%(0.5%)でマイナス成長が続くと予想する。この見通しは政府の2019年予算書の見通し(2018年マイナス2.4%、2019年マイナス0.5%)を敷衍(ふえん)したものになっている。景気回復には一刻も早い政策金利の引き下げを求められているものの、政府は高金利政策を通じたインフレ抑制と財政再建を優先した政策判断を崩していない。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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