マルタブロックチェーンサミットに8,500人来場

(マルタ)

ミラノ発

2018年11月14日

仮想通貨大国といわれるマルタで11月1~2日、「マルタブロックチェーンサミット2018」が開催された。主催者発表によると約300社が出展し、約8,500人が来場した。初日にはジョゼフ・ムスカット首相が講演、ブロックチェーンや人工知能(AI)分野などマルタにおける事業環境整備の取り組みを紹介した。

写真 講演するムスカット首相(ジェトロ撮影)

講演するムスカット首相(ジェトロ撮影)

このほか、マルタの投資環境全般や、ブロックチェーンを活用したビジネス拡大、技術開発の動向、世界における今後の関連規制環境の展望、トークン(注)・仮想通貨経済などの各テーマについて、政治家、規制当局、実務家、法律専門家などによる講演・パネルディスカッションが2日間にわたり実施された。

出展したのはブロックチェーン技術を活用した各種認証サービス企業、決済サービス提供企業、ブロックチェーンプラットフォーム提供企業、仮想通貨関連企業、現地の法律・会計事務所など。日本の出展者からは、マルタのブロックチェーンに関する環境について、(1)証券型トークンに関する規制が緩和されていること、(2)世界最大手の仮想通貨取引所運営企業の移転など、同業種企業が集積してきていることでネットワーキングがしやすくなっていること、(3)政府が現行の関連規制の維持を明言していること、(4)法人税率の優遇、などが魅力として挙げられた。特に(3)は、規制の頻繁な変更は大きなコストとなることから現行の法制度の維持は事業運営を行う上で魅力的とのコメントがあった。また複数の来場者から「思っていたより日本人が多かった」とのコメントが聞かれた。

外国企業からは、マルタの規制環境を好感するコメントが多く聞かれたが、仮想通貨業者からはマネーロンダリング対策のために銀行口座開設が困難との声も聞かれた。また日本のビジネス環境について尋ねたところ、法規制が厳しい印象はなく、市場規模なども踏まえ今後の進出先市場として魅力的である一方、サービスの現地化対応のための人材やエンジニアが確保できるか懸念しているとの声も聞かれた。

(注)既存のブロックチェーンを活用し発行され、交換や売買なども可能な引換券のような役割を果たす。

(山内正史)

(マルタ)

ビジネス短信 ced434db0aa70670