大統領、同性婚が2020年5月から可能と発表

(コスタリカ)

米州課

2018年11月29日

カルロス・アルバラド大統領は11月23日、2020年5月26日からコスタリカ国内での同性婚が認められると発表した。また、11月26日付公報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に最高裁判所の判決(15-013971-000-CO)が公示された。同国の民法第14条は同性婚を認めていないため、公示から施行までの18カ月の移行期間内に、議会において同法の改正が予定されている。

コスタリカには、人権問題や同性婚、児童労働などの社会的問題を取り扱う米州人権裁判所(CIDH)が設置されている。同裁判所は2018年1月10日、同性婚や個人の性別変更を社会的に認めるべきとの判決PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を下した。同時期は、2月4日に控えた大統領選挙のキャンペーン期間と重なったため、同性婚やLGBT(性的マイノリティーの総称)を認めない姿勢を取った国家復興党(PRN)のファブリシオ・アルバラド候補が、キリスト教福音派の後ろ盾を得て、世論調査で一気に最有力候補に躍り出た。しかし最終的には、中道左派・市民行動党(PAC)のカルロス・アルバラド氏が、4月1日の決選投票で勝利したものの、経済・財政政策が争点とならなかったことについて、複数の現地紙やテレビ報道の批判を招いた。大統領選挙後も、国内では同性婚容認に向けて、デモ活動が度々行われ、公道が占拠されるなどの事態が発生したが、今後はそうした運動は落ち着きをみせるものとみられる。

中南米諸国では、メキシコ(複数州)、コロンビア、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイで同性婚が認められている。また、エクアドルとチリは法的な同性婚を認めていないものの、事実婚(パレハ・デ・エチョ)では容認している。

容認国であるアルゼンチンのLGBT連合(FALGBT)は、同性愛者が偏見や不当な扱いを受けた際の通報機能を有している。もし、企業が同性愛者や同性婚者に対して差別的な扱い、または、それに相当するような行為を起こした場合、当該従業員だけでなく、連合として訴えを起こすことなどが考えられる。こうした場合に備え、差別や偏見が職場内で発生しないよう、企業は労務管理に注意が必要となるだろう。

(志賀大祐)

(コスタリカ)

ビジネス短信 cb9a9606d337ab76