境港~ザルビノ~長春間で貨物の試験輸送を実施

(ロシア)

モスクワ発

2018年11月14日

沿海地方南部ザルビノ・ハサン地区の国際港運営会社トロイツァ湾海洋港(MPBT)は10月24日、中国吉林省とザルビノ港を結ぶ国際輸送路「プリモリエ2」〔図們江(豆満江)国際輸送路〕を通じた日本から中国への2回目の貨物輸送を実施したと発表した。

今回は韓国DBSクルーズが運航する「イースタン・ドリーム」号により、鳥取県境港から中国吉林省長春市まで、デジタル製品(注)と一般消費財を、ザルビノ港を経由するトランジット貨物として運ぶもの。境港からザルビノ港まではフェリー、ザルビノ港から長春市まではトラックで輸送した。貨物は鳥取県がまとめ、輸送は日本通運が代理人としてアレンジした。同時に、長春市からザルビノ港に運ばれ、境港に向けられる農産品を積載した冷蔵コンテナのフェリーへの積載も行われた。通関は1時間を切ることができたという。

MPBTのアンドレイ・ペレワロフ社長は「ザルビノ港は、日本と中国北東部を結ぶ最短ルート上にあり地理的に有利。申告と積み出し手続きが短時間で実施可能な港湾インフラもそろっている」と強調。同様のルートで2018年4月に実施した1回目のテスト輸送と比較して取扱商品を拡大し、幾つかの作業の改善をみたとしている。

日本通運ウラジオストク営業所エフゲニヤ・ザハロワ所長は、「当社は、境港を北東アジアに向けたゲートウエーとして機能強化を図り、ウラジオストク港からザルビノ港までのDBSクルーズの延伸に関心を有する鳥取県との協力継続を計画している」と語った(「プライム通信」10月24日)。

「プリモリエ2」は吉林省とザルビノ港をつなぐロシア・中国両国の政府・民間ビジネスを後押しする開発プロジェクト(2017年3月13日記事参照)。2017年にMPBTは中国船MSR1号による「プリモリエ2」を用いた中国から韓国への試験輸送貨物を扱った。2018年9月には、ロシアと中国の間の新しいトランジット輸送路「琿春(吉林省)~ザルビノ~寧波(浙江省)」が「プリモリエ2」の枠内で開始され、MSR1号がトウモロコシを積載したコンテナ200個を寧波港まで輸送した。

写真 「プリモリエ2」の中継点となるクラスキノ。右は中国国境、左は北朝鮮国境への分岐(ジェトロ撮影)

「プリモリエ2」の中継点となるクラスキノ。右は中国国境、左は北朝鮮国境への分岐(ジェトロ撮影)

なお、鳥取県の平井伸治知事は2018年4月19日の定例記者会見で、吉林省向けに自動車産業向けのディスプレー用パネルを輸出する構想を示している。

(齋藤寛)

(ロシア)

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