地方自治体と公共サービスのデジタル化を促進

(ドイツ)

ベルリン発

2018年11月28日

地方政府と公共サービスのデジタル化促進に関するイベント「スマートカントリー・コンベンション」が2018年11月20~22日にベルリンで、初めて開催された。会議、ワークショップ、展示、ネットワーキングイベントなどで構成される同イベントはITの産業団体であるドイツIT・通信・ニューメディア産業連合会(BITKOM)と見本市運営会社メッセ・ベルリンが主催し、ドイツ内務省が後援した。

イベントには、州、地方自治体、団体、企業など約130の団体が参加し、会議やワークシップなどでの登壇者は約500人に上った。エネルギー、輸送、安全、廃棄物処理、水道、教育、医療、住宅といった公共サービスの電子化に加え、電子政府の実現にも焦点を当てた。

写真 ドイツIT大手企業は、電子政府への取り組みを支援するソフトウエアを展示(ジェトロ撮影)

ドイツIT大手企業は、電子政府への取り組みを支援するソフトウエアを展示(ジェトロ撮影)

写真 ドイツ通信大手企業は、橋や滑走路など公共インフラのメンテナンスシステムを展示(ジェトロ撮影)

ドイツ通信大手企業は、橋や滑走路など公共インフラのメンテナンスシステムを展示(ジェトロ撮影)

写真 州政府に加えて、NATOなどにもサイバーセキュリティーシステムを提供するドイツの同族経営企業(ジェトロ撮影)

州政府に加えて、NATOなどにもサイバーセキュリティーシステムを提供するドイツの同族経営企業(ジェトロ撮影)

初回のパートナーカントリーは、欧州で最もデジタル化が進んでいると評価されるデンマークだった。期間中には、公共サービスのデジタル化に資する技術・サービスを提供するスタートアップによるピッチコンテスト(注1)、ハッカソン(注2)も開催された。

写真 初回のパートナーカントリーは、EUで最もデジタル化が進んでいると評価されるデンマーク(ジェトロ撮影)

初回のパートナーカントリーは、EUで最もデジタル化が進んでいると評価されるデンマーク(ジェトロ撮影)

写真 スタートアップによる説明に注目が集まる(ジェトロ撮影)

スタートアップによる説明に注目が集まる(ジェトロ撮影)

スマートカントリー・コンベンション開催の背景には、ドイツ国民によるデジタル化への期待と、その現実の乖離がある。BITKOMが会期初日に発表した調査によると、ドイツ国民の約3分の2(64%)は、自分が住んでいる地方自治体は「デジタル化されていない」と回答した一方、デジタル化が地域社会で進展していると回答したのは30%にとどまった。スマートカントリー・コンベンションの開催により、州や地方自治体が、既存のデジタル技術活用を推し進め、公共部門と公共サービスのデジタル化を加速させることを狙う。

次回は、2019年11月19~21日にベルリンで開催される予定。

(注1)短時間で実施するプレゼンテーション。

(注2)エンジニア、デザイナー、マーケティング担当者などがチームをつくり、短期間でサービスやシステムを開発して成果を競うイベントのこと。

(増田仁)

(ドイツ)

ビジネス短信 a3116ff6df0f79a6