カリフォルニア州の失業率、過去最低の4.1%に

(米国)

サンフランシスコ発

2018年11月05日

カリフォルニア州労働開発局(EDD)は10月19日、2018年9月の同州の雇用統計PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。それによると、9月の失業率は4.1%(速報値、季節調整値)で、全米平均(3.7%)を上回るものの、1976年のデータ収集開始以来の最低となった。EDDが7万1,000社を対象にした調査結果によると、9月の非農業部門雇用者数は1,720万2,900人となり、前年同月比で33万9,600人増(2.0%増)となった。産業別にみると、前年同月比で最も雇用数が増加した分野は、専門ビジネスサービスで7万8,200人増(3.0%増)だった。次いで、教育・ヘルスサービスが7万7,900人増(2.9%増)、でレジャー・ホスピタリティーが6万8,600人増(3.5%増)となった。

サンフランシスコ・ベイエリアはさらに低い水準

また、2008~2009年にかけて発生したリーマン・ショックを契機とする不景気からの回復の兆しがみえ始めた2010年2月(失業率12.2%)に比べて、雇用数が225万3,900人増加した(図参照)。

図 カリフォルニア州の失業率の推移

サンフランシスコ・ベイエリア(注)の多くの郡では、失業率が2%台と低い。失業率が最も低かったのは、サンマテオ郡(シリコンバレー中央部)の2.1%。次いで、サンフランシスコ郡と、マリン郡(サンフランシスコ北部)がともに2.2%だった。そのほかでは、ソノマ郡(2.4%)、サンタクララ郡(2.4%)、ナパ郡(2.5%)などだ(表参照)。

表 郡別失業率ランキング(上位下位各10郡)

こうしたサンフランシスコ・ベイエリアの低い失業率について、EDDでディレクターを務めた経験があり、現在はシンクタンクのミルケン研究所でリサーチフェローとして勤務するマイケル・バーニック氏は、「サクラメント・ビー」紙(10月19日)に「好調なテック業界が後押しした」と述べている。

他方で、雇用者の負担が増大する可能性を指摘する声もある。カリフォルニア大学ロサンゼルス校アンダーソン経営大学院のジェリー・ニッケルスバーグ教授は、「サンフランシスコ・クロニクル」紙(10月19日)に「州内のほとんどの郡で労働市場が逼迫している。福利厚生を含めた総体的な賃金が上昇に向かう兆候だろう」との見解を示している。さらに、同教授は「正規雇用のための労働市場が十分でないため、雇用拡大で非正規雇用の従業員を正規社員へと移行させなければならない企業も出てくる」と見通している。

(注)サンフランシスコやオークランド、サンマテオ、サンタクララなどの都市を含むカリフォルニア州北部のサンフランシスコ湾岸地域の総称。

(高橋由奈)

(米国)

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