新職種の従事者は高収入・強い満足度、調査報告書発表

(中国)

上海発

2018年11月01日

「2018年中国新職種グループの仕事生活現状調査報告書」(以下、報告書)が10月23日に発表された。同報告書はグルメサイトなどを手掛ける美団点評が中心になって調査したもので、全国123都市、800種の新職種をカバーしている。新職種は多岐にわたるが、今後需要が高まると予想されるものとして、漢方薬のリハビリ介護士、インターネット販売の推進インストラクター、企業研修アドバイザー、高齢者用品販売サービス担当などが挙げられている。

中国の消費市場が拡大を続ける中、消費者のニーズは多様化している。そのため新職種群で働く人々の収入も上昇しており、報告書によると、月収5,000元(約8万円、1元=約16円)を超える人は52%に達し、ペット医師については月収2万元を上回っている人が28%に上る。

また若者の晩婚化現象が進行しているが、新職種従事者にはさらにその傾向が強いという。独身比率の高い上位3位は、酒類調合師(バーテンダー)、装飾デザイナー、就学前児童教育の塾講師となっている。

中国では転職は一般的に行われる傾向にあるが、新職種群における転職状況は一般の職種とは異なっているようだ。これまで転職を一度も経験したことがない人は34%で、転職経験のある人も「3年以上の勤務で一度のみ」という比率が62%と高く、仕事への満足度が強い傾向にあるようだ。これは73%の人がその仕事を好み自ら選択したことが背景の1つにあるといえ、1週間の労働時間が50時間を超える比率は75%に達しているという。

報告書によると、性別と職種に関し、伝統的な考え方にとらわれない傾向も強まっている。これまで男性中心の職業と考えられていた汽車美容技師(洗車関連業務)に従事する女性の比率は23%に上昇しており、また、労働条件が厳しいとされるペット医師についても女性が42%を占めている。逆にこれまでは女性向けの職業とみられていた保育士の男性比率は33%に達しているという。

(福田和俊)

(中国)

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