10月の小売売上高は前月比0.8%の高い伸び

(米国)

ニューヨーク発

2018年11月27日

米商務省の速報(11月15日付)によると、10月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.8%増の5,115億ドルと、5月(1.2%増)以来、5カ月ぶりの高い伸びとなった。変動の大きい自動車・同部品を除くと、0.7%増の4,084億ドルと2カ月ぶりのプラスとなった。なお、9月の売上高は0.1%増(速報値)から0.1%減に下方修正された。

全米小売業協会(NRF)チーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「米国経済の状況に沿うように、個人消費も堅調なペースで増加し、力強い状態が続いている」と述べた(NRFプレスリリース11月15日)。

ガソリンスタンドが最大の押し上げ要因

業種別にみると、ガソリンスタンドが前月比3.5%増の456億ドルと、全体を最も押し上げた(表参照)。次いで、自動車・同部品が1.1%増の1,031億ドルとなった。建材・園芸用品(1.0%増、332億ドル)については、9~10月に米国東部に上陸したハリケーンからの復旧・復興需要も含まれるとの見方もある。

一方で、フードサービス(0.2%減、604億ドル)、家具(0.3%減、102億ドル)、ヘルスケア(0.0%減、290億ドル)が押し下げ要因となった。

キャピタル・エコノミクスの米国担当シニアエコノミストであるマイケル・ピアス氏は、9月の伸びが下方修正されたことに加え、高い伸びを示した10月の前月比の大部分が、変動の大きいガソリンスタンドや自動車・同部品によるものだったことから、「基調的な消費支出の伸びは(それほど強くなく、むしろ今後)減速し始めていく兆しが見られる」と述べた。また、パンセオン・マクロエコノミクスのチーフエコノミストであるイアン・シェファードソン氏は、「減税による押し上げ効果が終息しつつあるようだ」と指摘した(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版11月15日)。

表 業種別小売売上高(季節調整済み)

民間調査会社コンファレンスボードが10月30日に発表した10月の消費者信頼感指数は137.9と、9月(135.3)より2.6ポイント増加し、2000年9月(142.5)以来、18年ぶりの高水準を記録した。内訳をみると、現況指数は172.8(9月:169.4)と3.4ポイント増加し、6カ月先の景況見通しを示す期待指数も114.6(9月:112.5)と2.1ポイント増加した。

コンファレンスボードの経済指標ディレクターであるリン・フランコ氏は、現況指数は引き続き増加し、「2000年9月とそれほど変わらない水準に達した」とし、消費者の現況に対する評価は「力強い雇用の伸びを主因として非常に良い」と指摘した。また、今後についても「期待指数も増加し、消費者はすぐには景気が失速するとはみておらず、むしろ2019年の初めまでは力強い成長ペースが持続するとみている」と述べた。

(樫葉さくら)

(米国)

ビジネス短信 8ceccdd095659521