モビレ、飲食宅配事業で5億ドルの資金調達

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年11月16日

サンパウロ州カンピーナス市に本社を置くモバイル・マーケットプレイス大手モビレ(Movile)は11月13日、飲食宅配サービスのアイフード(iFood)の事業拡大に向け合計5億ドルの資金を調達したと発表した。出資者は南アフリカ共和国のインターネット・メディア企業ナスパーズ(Naspers)および投資会社イノバ・キャピタル(Innova Capital)。ブラジルのスタートアップ企業への投資額としては、タクシー配車アプリのノビノビ(99)が2017年に日本のソフトバンク、中国の配車サービス滴滴出行、投資ファンドのリバーウッドから2億ドルを調達したことがあるが、今回はそれを上回り、スタートアップ分野への投資としては中南米最大規模とみられる。

モビレによれば、アイフード事業の2018年のブラジルにおける利用者数はこれまでに900万人を上回り、競合企業の約16倍と圧倒的なトップシェアを誇る。国内の加盟レストランは5万軒、宅配者は12万人に上る。国際的に飲食宅配サービスをみると、米国のグラブハブやウーバーイーツなども大手に挙げられるが、例えばグラブハブの1日当たり注文数41万6,000件に対しアイフードは39万件と肉薄しており、伸び率はアイフードの方が高いとされる。

モビレのファブリシオ・ブロイジ最高経営責任者(CEO)によれば、調達額の多くはブラジル事業の拡大に投じられるが、メキシコ、コロンビア事業にも向けられる。特に人工知能(AI)を用いた利用者の好みに合うサービスの提案、アプリを通じた音声による注文といった新たな利用形態に注目をしているという。なお、モビレはアイフードをはじめとする食品分野以外に、決済、イベントチケット、コンテンツサービス分野の事業を傘下に置いている。従業員数は2,200人。

(二宮康史)

(ブラジル)

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