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上院分科委、ブレグジット後の化学品規制準備状況に警告

(英国)

ロンドン発

2018年11月09日

英国上院の分科委員会は11月7日、EU離脱(ブレグジット)後の化学品の規制に関する報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。報告書では、同分野に関する政府の準備の進捗は不十分で、欧州化学品規制(REACH規則)からの離脱の影響や、その際の手続きの不透明性などへの懸念を示している。

化学産業は、英国内の製造業で飲食産業に次ぐ2番目に大きな生産高があり、2017年は化学品の輸出の61%がEU向け、輸入の71%がEUからだった。EU域内で一定量以上の化学品を上市(市販)するには、REACH規制に基づき欧州化学品庁(ECHA)への化学物質の登録が必要で、ECHAの約2万1,000件の登録のうち、英国企業によるものは約5,000件を占める。ブレグジット後は、特別な合意がない限り、EUでの英国企業による登録は無効になる可能性がある。そのため、英国の製造業者と輸入業者は、現在の登録をEU域内の企業などに移転する必要が生じるが、その手続きは英国がEUから離脱するまで実施できない可能性がある。報告書では、政府にこの点の不透明性を直ちに解決するよう提言している。

また、REACH規則からの離脱に伴い、英国内でも同様の規制体系を整備するため、政府はITシステムの構築を進めている。しかし、離脱日までにシステムの準備が整った場合でも、どのようにデータを蓄積していくかに疑問を呈した。ブレグジット後はREACH規制のデータベースにアクセスできなくなる可能性がある。また、現在は英国からアクセスできるECHAデータベースの情報を、新しいシステムに「コピー&ペースト」することは著作権などの問題から、ECHAによる承認なく行うことはできないとの見解も示された。これにより、企業には再度、動物実験を含む必要なデータを集めて提出する必要性が出てくる。報告書では、英国の新しいデータベースの進捗を詳細に示すように政府に求め、追加の動物実験などを最小限にとどめるよう考慮すべきと主張した。

英国企業によるECHAの登録を、EU域内企業によって再登録する費用は1件当たり200ポンド(約2万9,800円、1ポンド=約149円)から1,500ポンドとされ、英国とEU双方の化学産業全体で4,500万ポンドのコスト増が見込まれる。ECHAに約50件の登録を有する企業は、ブレグジットにより初年に300万~450万ポンド、その後に年間50万~100万ポンドの追加費用がかかるとしている。

(鵜澤聡)

(英国)

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