広州市で全国初の自動運転タクシー導入も紆余曲折

(中国)

広州発

2018年11月13日

広州市公共交通集団(以下、広州交通集団)が11月1日、全国で初めて、有料で自動運転タクシーのテスト運行を開始した。しかし、テスト運行に関する警察の許可を取得しておらず、実施内容の変更を余儀なくされ、紆余(うよ)曲折をたどっている。

自動運転レベルは「4」

テスト運行する自動運転タクシーは、専用のアプリを通じて配車し、価格は初乗り12元(約192円、1元=約16円)で従来のタクシーと同額。広州市内の大学キャンパスが集中する「大学城」エリアで運行する。車両は地場系メーカーである広汽新能源汽車のスポーツ用多目的車(SUV)「伝祺GE3」が使用されている。自動運転の技術は文遠知行(WeRide.ai)のものを利用しており、自動運転のレベルは特定のエリアでは全ての操作が完全に自動化される「レベル4」とされている。

車両台数は3台で、午後2時から4時までの運行。運転手はいないものの、各車両には1~2人の安全員が配置される。

警察の認可未取得で実施内容変更

しかし、テスト運行を開始したものの、当日に大学城を管轄する番禺区交通警察および広州市交通局から停止命令が出された。番禺区交通警察によれば、10月30日に広州交通集団からテスト運行について問い合わせがあり、警察の許可を得なければ実施は不可である旨を回答、10月31日には実施に同意しないと連絡をしたという。警察の同意がないにもかかわらず、広州交通集団は許可未取得のままテスト運行を実施していた。広州交通集団は警察の指導を受けて、現在はテスト運行の範囲を縮小し、「無料試乗」というかたちで実施している(「新快報」11月6日)。

広州市では、自動運転の公道でのテスト走行について規定した「広州市のスマートネットワーク自動車の道路測定試験に関する業務の指導意見」の意見募集稿を発表した(2018年6月13日記事参照)ものの、現時点で正式に公布はされていない。

(河野円洋)

(中国)

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