中国国際輸入博覧会、米国企業も売り込みに注力

(中国)

上海発

2018年11月09日

米中貿易摩擦が激化する中、トランプ米政権は「中国国際輸入博覧会(CIIE)」(会期11月5~10日)の開幕式に政府高官を派遣しなかったが、米国企業は中国市場の開拓に意欲的だ。CIIEの企業エリアに出展した米国企業数は国・地域別の出展者数で3位の約180社(表参照)、出展面積は日本に次いで2位となっている。

表 中国の主な輸入相手国・地域およびCIIEでの出展企業数

米国企業は大手企業を中心に、ハイエンド・インテリジェント機器、医療機器、自動車、食品・農産品などの各ホールに出展している。検索エンジンやSNSの規制でいまだに中国で事業展開ができないフェイスブックとグーグルは、サービス・貿易ホールでなく、人工知能(AI)などをアピールするハイエンド・インテリジェント機器ホールに出展しており、2社とも巨大な中国市場の開拓に力を入れている。

日本をはじめ、韓国、米国、オーストラリア、ドイツ、イタリアの先進6カ国は、出展企業数の約3分の1を占める。一方、新シルクロード経済圏構想「一帯一路」沿線国からの出展も多く、58カ国から計1,000社余りが出展し、展示総面積は企業エリアの16.5%に当たる4万5,000平方メートルに上る。とりわけ、中国政府の協力を得ながら、鉄道を中心に交通インフラ整備を積極的に推進しているケニアを中心とする、アフリカ諸国から約170社が出展している。

米国企業が出展企業連盟で主導役

11月6日に世界大手企業49社で結成するCIIE出展企業連盟(以下、連盟)が発足し、米国企業が主導的な役割を果たしている。ゼネラル・エレクトリック(GE)が連盟の理事長に当たるチェアマンに選ばれたほか、米大手化学メーカーのデュポンとヘルスケア大手のジョンソン・エンド・ジョンソン、4大会計事務所の英アーンスト・アンド・ヤング(EY)、ブラジルの食肉大手JBS、フランスの化粧品大手ロレアル、韓国のサムスン、トヨタ自動車の7社が副理事長のポストに選ばれた。

連盟は優秀な出展者が交流するプラットフォームであるほか、CIIE関係者の情報と資源を活用しながら、中国と世界各国の経済・貿易の活性化に向けアドバイスするシンクタンクの役割も期待されている。ちなみに、連盟の発足とともに、大手企業36社は2019年に開催される2回目のCIIEへの出展契約を結んだ(「上海証券報」11月6日)。

写真 フェイスブックのブースでの商談風景(ジェトロ撮影)

フェイスブックのブースでの商談風景(ジェトロ撮影)

写真 ケニアのナショナルパビリオン(ジェトロ撮影)

ケニアのナショナルパビリオン(ジェトロ撮影)

(劉元森)

(中国)

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