インダストリー4.0を導入、製造業の生産性向上目指す

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年11月26日

マレーシア政府は10月31日、「インダストリー4.0」の導入に向けた国家政策「Industry4WRD外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同政策は、製造業および関連サービスにおけるデジタル化、インダストリー4.0の導入を推進し、産業の高度化を図ることにより、生産性向上、高度人材の育成および雇用創出を目指す。

製造業における労働生産性を30%向上

同政策の2025年までに達成すべき4つの数値目標は表のとおり。(1)製造業における1人当たりの労働生産性を2016年比で30%向上させる、(2)製造業のGDPに対する寄与を3,920億リンギ(約10兆5,840億円、1リンギ=約27円)へ引き上げる、(3)世界知的所有権機関(WIPO)など共同発表している「グローバル・イノベーション・インデックス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の順位を30位へ引き上げる、(4)製造業における高度熟練労働者比率を35%へ引き上げる、を設定した。ファンディングや優遇措置の提供、デジタルインフラや規制などの整備、人材のスキルアップを含む5本の柱を目標達成手段として掲げている。

表 「Industry4WRD」における2025年までの目標

地場中小企業のデジタル化に力点

重点分野としては、10月18日に発表された「第11次マレーシア計画」の改定版(2018年10月25日記事参照)と同様、電気・電子、機械・部品、化学、航空機器、医療機器が挙げられている。

また、デジタル化、インダストリー4.0の導入促進による地場中小企業の競争力底上げを特に重視し、主に地場中小企業を対象としたインセンティブパッケージやインダストリー4.0を導入するためのアセスメントの実施支援などが計画されている。11月2日に発表された2019年予算案では、2019年から2020年までに500社の中小企業のアセスメントを実施する予算として2億1,000万リンギを配分するなど、同政策に沿った6つの方策が明示された。

マハティール首相は同政策の発表会見において、「マレーシアの経済成長を支えると同時に外国直接投資も引き付けることができるのは製造業だ」と述べ、インダストリー4.0の導入による製造業の国際競争力向上の重要性を強調した。同政策は、国際貿易産業省(MITI)が中心となり実施する。

(田中麻理)

(マレーシア)

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