シリコンバレーの外国政府系機関コンソーシアムが発足
(米国)
サンフランシスコ発
2018年11月22日
シリコンバレーに所在する16の外国政府系機関によるスタートアップ支援のコンソーシアム、インターナショナル・イノベーション・アライアンス(IIA)が11月8日に発足した。シリコンバレーでは、「フレンチテック」(フランス)や「コリアン・イノベーション・センター」(韓国)などの外国政府機関が自国のスタートアップの売り込みを目指して、さまざまなプログラムを展開している。今回の枠組みは、自国が有するノウハウやネットワーク、各機関が有する自国のマーケット情報を共有し、シリコンバレーから世界を目指すスタートアップを共同でサポートするもの。J-Startupの事務局を務めるジェトロや新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日本勢に加え、フランス、韓国、ベルギー、チェコ、ドイツ、アイルランド、ポーランド、オーストリア、オーストラリア、北欧諸国、中国、台湾地域などの16機関が参加した。
16機関がスタートアップの世界展開を共同でサポート
この枠組みは、個別のスタートアップのサポートだけでなく、ピッチイベント、デモ・デー(成果報告会)の開催など、具体的なプログラムも含まれる。IIAによる初めての取り組みとなった「インターナショナル・ピッチ・コンペティション」(11月8日、サンタクララ)では、IIAメンバーが推薦する自国のスタートアップ13社を招き、ベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーターに対して、ピッチ(注1)を行う機会を提供した。日本からは、デベロッパーやボット向けのAPI(注2)や暗号を手数料無料で提供するフィンテック・スタートアップ、アルパカDB(AlpacaDB)の横川毅最高経営責任者(CEO)がピッチに参加、ピッチイベントの審査にはドレイパー・ネクサス(Draper Nexus)のマネジングディレクターである北村充崇氏が参加した。ベルギーからは、有名シードアクセラレーターのYコンビネーター(Y Combinator、注3)から誕生したミール・ボックス(Meal Box)が参加。ミール・ボックスは、米国で毎日15万トン存在するといわれる食品廃棄物を減らすため、レストランやカフェ、スーパーマーケットなどが廃棄してしまう食品を格安で、閉店間際に消費者に直接、販売できるアプリを開発している。
インターナショナル・ピッチ・コンペティッションの様子(ジェトロ撮影)
IIAによる取り組みは始まったばかりで、今後の活動を持続的なものとするため、ピッチイベント前にはIIAメンバー間による戦略的提携覚書(MOU)が交わされた。
シリコンバレー外国政府系機関による覚書調印式(ジェトロ撮影)
(注1)スタートアップが投資家に向けて短時間で行うプレゼンテーション。
(注2)アプリケーション・プログラム・インターフェース。ソフトウエアコンポーネントが互いに機能を利用するための仕様、インターフェース。
(注3)ファイル共有ソフトのドロップボックス(Dropbox)や、民泊仲介サイト世界最大手エアビーアンドビー(Airbnb)、オンライン決済プラットフォームのストライプ(Stripe)を生んだシードアクセラレーター。
(樽谷範哉)
(米国)
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