アルゼンチン産生鮮牛肉、17年ぶりに対米輸出が可能に

(アルゼンチン、米国)

ブエノスアイレス発

2018年11月29日

米国農務省(USDA)食品安全検査局(FSIS)は11月26日、アルゼンチン産牛肉の米国向け輸出を認可する衛生検査システムを再び設ける通達(FSIS NOTICE 64-18外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。

FSISは、既に2015年7月にアルゼンチン産生鮮牛肉の輸入を許可していたものの、同国の食肉検査システムが米国の衛生基準と同等の認定であることを必要としていたため、これまで輸出は実現していなかった。今回の通達によって、アルゼンチン国家農畜産品衛生管理機構(SENASA)を通じて行う検査システムが、米国の衛生基準との同等性が認定された。米国農務省が衛生基準の同等性を認定しているアルゼンチン企業は、2018年5月22日時点で14社ある(企業リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

今回の発表によって、内臓、頭、ひづめを含まない骨なし肉で、年間2万トン(金額にすると約1億5,000万~1億8,000万ドル)の枠が認められた。アルゼンチン農産業庁によると、米国向け生鮮牛肉の輸出は17年ぶりとのことだ。なお、2万トンを超えた場合、26.4%の追加関税が課されることになる。

アルゼンチン農牧協会(SRA)のダニエル・ペレグリナ会長は、アルゼンチン食肉産業にとって米国市場は極めて重要だと主張し、今回の米国の決定によって他国市場も開かれることを期待する、と述べた。また、G20首脳会議の会期中(11月30日~12月1日)にトランプ米国大統領との会談を控えるマウリシオ・マクリ大統領は「大きな(ビジネス)チャンスだ。米国は食品および牛肉の主要輸入国。わが国の生産者は、4,400万人(アルゼンチンの総人口)の市場にとどまらず、世界最大の市場を目指すことになる。すなわち働き口が増えることを意味する」と、米国市場再開の喜びを、政府の公式ツイッターを通して伝えた。

なお、米国は2018年3月23日、開発途上国・地域からの輸入品に対する関税の一部免除を適用する一般特恵関税制度(GSP)のリストに、アルゼンチンを6年ぶりに加えた。これにより、農産品や食品では500品目超(対象品目リストPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))が米国輸入時に無関税となった〔適用は2018年1月1日まで遡及(そきゅう)〕。ちなみに、2018年1~9月の対米輸出状況をみると、上記500品目超に含まれているバイオディーゼル(HS271019)が前年同期比3.6倍(1億5,200万ドル)、果実ジュース(HS2009)は1.5倍(1億2,000万ドル)となった。

(山木シルビア)

(アルゼンチン、米国)

ビジネス短信 5a768f4fe0caf237