新大統領、ロシアとの融和を否定、親欧州路線を明確化

(ジョージア)

欧州ロシアCIS課

2018年11月30日

11月28日に実施されたジョージア大統領選挙の決選投票の結果、無所属で立候補し、与党「ジョージアの夢」が支持したサロメ・ズラビシビリ氏が当選した。同国で初の女性大統領となる。同氏はインタビューの中で、ジョージアはEU・NATOへの加盟を引き続き推進すべきとの考えを示し、欧州とロシアとの間でバランス外交を取る可能性を否定した。

ジョージア中央選挙管理委員会は11月29日、第2回投票の結果(速報)を発表。2回目投票に参加した2人の候補者のうち、ズラビシビリ氏が59.54%を得票して当選を確実にした。ズラビシビリ氏はフランスのパリ生まれでパリ政治学院卒。フランス外務省で30年勤務し、2003年には駐ジョージア仏大使として着任。2004年にジョージア国籍を取得してジョージア外相に就任した。ジョージアでは政府機構改革の結果、国政の実質的な運営の権限は大統領から首相に移り、大統領は象徴的な指導者の意味合いが強い。任期は6年。国民による直接選挙は今回が最後で、次回は代議員による投票となる。

ズラビシビリ氏は当選確定後に英国放送協会(BBC)のインタビューに応じ、同国の安全保障に関連して「NATO加盟を国民は諦めているのでは」との質問に、「NATO以外に選択肢はない」と回答。「ジョージア国民は欧州に近づくことを望んでいる」と述べ、欧州への統合を強く推進する方向性を強調。対ロシアとの関係については、「(ズラビシビリ氏が)欧州とロシアの間でバランスを取ろうとしているというのは偽報だ」と発言。「ロシアは依然としてジョージアの脅威であり、現時点での協力はない」と、ロシアとの融和の可能性を明確に否定し、欧州、米国とも連携してロシアとの交渉に臨むべきとの考えを示している。

(高橋淳)

(ジョージア)

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