デジタル技術スーパークラスターへの日本企業の参加を呼び掛け

(カナダ)

米州課

2018年11月05日

在日カナダ大使館は10月30日、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州のデジタル技術スーパークラスター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます共同創設者のビル・タム氏を招き、同クラスターの概要や日本企業との研究開発(R&D)連携に関する意見交換会を東京で開催した。カナダ政府は2017年5月、既存の産業クラスターにおける商業化や技術開発の加速を目的とした「イノベーション・スーパークラスター」構想を発表しており、本クラスターを含む5つのスーパークラスター(注)が選ばれている。連邦政府は5つのクラスターに対し、5年間で最大9億5,000万カナダ・ドル(約817億円、Cドル、1Cドル=約86円)の助成を行い、民間セクターが政府と同規模の投資を行うことで、今後10年間で5万人以上の中間層の雇用創出と、500億Cドルの経済成長を目指している。

写真 カナダのスーパークラスターの紹介(ジェトロ撮影)

カナダのスーパークラスターの紹介(ジェトロ撮影)

デジタル技術の世界的リーダーを目指す

講演を行ったタム氏は、今後5年以内にデータ収集や分析、情報シェアなどの処理のために約500億以上のスマートデバイスが世界中で利用されると予測される中、同州に産業集積のあるAR(拡張現実)、VR(仮想現実)をはじめ、量子コンピューティングやブロックチェーン、クラウドコンピューティングを活用して、デジタル技術の世界的なリーダーになることを目指す、と述べた。タム氏によると、同クラスターの第1フェーズのパイロットプロジェクトでは、天然資源、ヘルスケア、製造業の3つの主要産業を取り上げ、プロジェクト参加企業がデータ収集・分析・可視化を通じて、データ・コモンズ、デジタルツイン、プレシジョンヘルスに利用するという。プロジェクトの例としては、ARやVRの導入による鉱業の改革や、遠隔接続センサー、可視化技術の採用による森林状態の改善、遺伝子情報の解析を通じた個別化医療、などを挙げた。

プロジェクトは、顧客企業のデジタルニーズに基づいて決定され、プロジェクトごとに参加企業を募り、参加企業の出資金額に応じて助成金が交付される。タム氏は、現在500社以上がデジタル産業クラスターに参加しており、日本企業でもカナダに法人があれば、アソシエートメンバ―として無料で参加できるとし、本クラスターへの日本企業の参加を呼び掛けた。

(注)5つのスーパークラスターは、(1)海洋(大西洋岸)、(2)スケールAI(ケベック州)、(3)先端製造(オンタリオ州)、(4)タンパク質産業(平原州)、(5)デジタル技術(BC州)。

(中溝丘)

(カナダ)

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