米国の対ロ制裁を受け、日系企業の景況感は3期ぶりに下落

(ロシア)

モスクワ発

2018年05月02日

ジェトロは4月9~20日に、在ロシア日系企業景況感調査を実施した。景況感(最近の状況)DI(注)は、前回調査(2018年3月23日記事参照)に比べ、3ポイント減となるプラス27となった(図1参照)。自社の景況見通し(2カ月後の状況)DIも同様に8ポイント減少しプラス22だった。

図1 自社の景況DIと2ヵ月後の景況見通しDIの推移

今回は米国の対ロ追加制裁発表(4月6日)直後の実施となったこともあり、景況DI・景況見通しDIともに3期ぶりに下降に転じたが、両DIはプラス20超と5期連続でプラスを維持した。景気回復トレンドは継続しているものの、追加制裁と為替レートの不安定化により、先行き不透明感が出ている。

製品・サービスの自社販売価格DIはプラス17と前回調査から急激に上昇した(図2参照)。製品在庫DIは1ポイント悪化のプラス2と横ばい。資金繰りDIは7ポイント悪化しプラス3となったが、5期連続でプラスを維持した。

図2 販売価格DI、製品在庫DI、資金繰りDIの推移

追加制裁に起因する為替レートの下落により、販売価格は2015年以来となる急激な上昇をみせた。資金繰りに関する回答では現在のところ「改善」を維持しているが、為替の動きによる影響が今後、懸念される。

今回の調査はモスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、モスクワ周辺、サンクトペテルブルク周辺、沿ボルガ地域などに所在する日系企業250社を対象に実施し、78社から回答を得た(同一企業による別拠点回答を含む)。回答企業のうち、製造業は11社、非製造業は67社だった。

(注)景気動向指数:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。「良い」(または「上昇」、「不足」、「改善」)と回答した企業の比率から、「悪い」(または「下降」、「過大」、「悪化」)と回答した企業の比率を差し引いた数値。DI={「良い」/(「有効回答数」-「不明・該当せず」」-「悪い」/(「有効回答数」-「不明・該当せず」)}×100。

(齋藤寛)

(ロシア)

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