米PE大手と地場不動産、インド初のREIT上場を申請

(インド)

ムンバイ発

2018年10月10日

米プライベートエクイティー(PE)大手ブラック・ストーンと、ベンガルールに本拠を置く不動産開発大手エンバシー・グループの合弁事業体であるエンバシー・オフィス・パークスは9月24日、インド証券取引委員会にインド初となる不動産投資信託(REIT)の上場を申請した。上場先はボンベイ証券取引所とムンバイのナショナル証券取引所の予定(ロイター9月24日)。証券取引委員会は2014年9月に REITに関する規定を通知していたが、昨今の旺盛な不動産投資にもかかわらず、これまでREITの上場はなされていなかった。

同社は建築中の物件も含め、西部ムンバイ、プネ、南部ベンガルール、北部デリー首都圏やノイダなどに約307万平方メートルの賃貸物件を保有し、年間約200億ルピー(約320億円、1ルピー=約1.6円)の収益を上げている。同社はこの上場を通じ、約520億ルピーの調達を目指している。

ブラック・ストーンをはじめ、外資系金融機関・企業による不動産投資は近年非常に活発で、8月にシンガポールの政府系投資機関GICが、ムンバイ中心部で不動産開発を進める地場開発会社プロベナンス・ランドへ推定約2億5,000万米ドルの出資を発表した。また9月には、継続的にインドへの不動産投資を進めているカナダ年金基金投資委員会が、地場不動産開発会社と合弁事業会社を設立し、約64億ルピーでベンガルールの土地を取得すると報じられた(「タイムズ・オブ・インディア」9月20日)。日系企業では、2月に住友商事がクリシュナグループと共同で、北部グルグラム市でのマンションの開発・分譲事業への参画を発表した。また9月に三菱商事が、南部チェンナイの住宅開発事業に約18億ルピーの出資をすることを発表した。

なお、2018年上半期のインド全体のオフィススペースの取引は約202万平方メートルに及び、前年同期比で13%増となっている。

(比佐建二郎)

(インド)

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