中国本土と香港、科学技術・イノベーション分野の協力強化へ

(中国、香港)

香港発

2018年10月04日

中国の科学技術部と香港特別行政区政府の創新科技局は9月20日、イノベーション・科学技術分野での協力および共同資金支援による研究開発プロジェクトの実施に関する文書に調印した。

調印されたのは「内地(中国本土)と香港のイノベーション・科学技術協力強化に関するアレンジメント」(以下、アレンジメント)および「科学技術部と香港特別行政区創新科技局の共同資金支援研究開発プロジェクトの展開に関する協定」(以下、協定)。

本土と香港間の科学技術・イノベーション分野の交流の方向性を詳細に規定

まず「アレンジメント」では、香港を中国のイノベーションシステムに速やかに融合させるとともに、香港における「国際イノベーション科学技術センター」の建設を支持し、「広東・香港・マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)」におけるイノベーション・科学技術および国際化の能力の向上を図ることで、香港経済の発展をサポートし、ベイエリアの建設を支援する方針が明記されている。その上で、以下の7分野を今後の主要な協力分野として規定した。

  1. 本土と香港との科学技術研究協力の深化。
  2. 本土と香港との科学技術協力プラットフォーム・基地の建設の共同推進。
  3. 本土と香港との科学技術人材の育成・発展の強化。
  4. 本土と香港の科学技術の成果の移転・転化およびイノベーション・科学技術産業の育成の加速。
  5. 香港のイノベーション・科学技術分野の優位性の発揮を促進し、国家の発展戦略に協力。
  6. 香港における良好なイノベーション・科学技術の雰囲気の醸成の促進。
  7. 本土と香港とのイノベーション、科学技術協力に関するその他の内容。

「アレンジメント」に基づく詳細な協力内容は、付属文書の「(中国)本土と香港のイノベーション科技協力ジョイントアクションプラン」(添付資料参照)に記載されている。

また、「協定」では、バイオテック、人工知能、スマートシティー、フィンテックといった香港側のニーズの高い分野を、資金支援の優先対象となる分野として明記。その上で、本土側と香港側が共同で実施する研究プロジェクトについて、実施主体となる双方の研究機関それぞれが本土側・香港側の窓口(本土側:中国科学技術交流中心、香港側:香港政府創新科技署)に対し研究資金支援申請を行うことで、双方が本土側・香港側それぞれから資金支援を享受できることなどが明記されている。今後、資金支援の具体策を定めた「(中国)本土と香港の共同資金支援計画」が公布される予定。

(中井邦尚)

(中国、香港)

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