ビジネスヨーロッパ、次期・中期予算枠組みの早期合意求める

(EU)

ブリュッセル発

2018年10月31日

ビジネスヨーロッパ(欧州産業連盟)は10月30日、EUとして審議を進めている「2021~2027年の中期予算枠組み(MFF)」について、早期に政治レベルの合意を形成するよう求める声明を明らかにした。具体的な時期として、ビジネスヨーロッパは、2019年5月に予定されている欧州議会選挙(2018年5月28日記事参照)までの政治合意を強く要請している。

欧州政治の混迷がもたらす経済への悪影響を警戒

今回のビジネスヨーロッパの声明は、11月5日に予定されている欧州議会・予算委員会(BUDG)で、「MFFに関する中間報告書案」についての採決が行われることを踏まえて、欧州議会、EU理事会などに対し、迅速な対応を求めるものだ。マルクス・バイラー事務総長は「全ての(EU)関係者は2019年5月の欧州議会選挙までに、次期MFFの政治合意を形成するよう尽力すべきだ。遅れが生じた場合、重大な影響が発生し得る」とくぎを差した。

バイラー事務総長は声明の中で、MFF合意の遅れは「戦略的投資にとって失われた年(lost year)になり兼ねない」と、強い口調で警告している。その背景には、「インベストEUプログラム」(2018年6月14日記事参照)など、次期MFFに盛り込まれる新たな投資戦略に対する期待もあるが、一部で、合意なき離脱(ノー・ディール)シナリオも想定(2018年10月23日記事参照)され始めた英国のEU離脱(ブレグジット)問題や、急速に不透明感が漂い始めている欧州主要国の政治情勢(2018年10月18日記事10月25日記事10月30日記事参照)の中で迎える次回・欧州議会選挙に対する危機感があるものとみられる。

さらに、バイラー事務総長は「EUの主要な競合国は投資面で大胆な戦略を打ち出している」とも指摘。EUの投資促進をめぐる政策運営に遅滞は許されない、とEUの政策関係者にハッパを掛けた。

(前田篤穂)

(EU)

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