自動車新燃費基準に関する公聴会が全米3地域で開催

(米国)

ニューヨーク発

2018年10月03日

トランプ政権の環境保護庁(EPA)と運輸省道路交通安全局(NHTSA)は9月24~26日にかけて、カリフォルニア州フレズノ、ミシガン州ディアボーン、ペンシルベニア州ピッツバーグのそれぞれ3地域で、8月2日に両機関が発表した乗用車と小型トラックの温室効果ガス(GHG)排出基準と、企業平均燃費(CAFE:Corporate Average Fuel Economy Standard)規制の新規制案(2018年8月10日記事参照)である、SAFE車両規制(注1)に関する公聴会を開催した。なお、EPAとNHTSAは10月26日まで、新規制案に対するコメントを受け付ける。

新規制案ではサプライヤーの雇用が減少との反対論も

新規制案が導入されれば、2022年以降も、カリフォルニア州など10州が準用するゼロ・エミッション車(ZEV)規制と、水準の異なる2つの基準が存在することになり、メーカーにとってはコスト負担が増える。自動車団体の米国自動車工業会(AAM、注2)は「気候変動は現実に起こっており、メーカーはこれからも燃費改善の努力を続けていく」と述べた上で、コスト増による需要の減少を避けるため、全米統一基準に向けた解決策を求めた。

米国自動車部品工業会(MEMA)の環境政策シニアディレクターのローリー・ホルムズ氏は「新規制案の導入で、2025年までに間接雇用を含め50万人の職が失われる」との調査結果を引用し、新規制案に強い反対の姿勢を示した。

カリフォルニア州EPA長官のマシュー・ロドリゲス氏は「政府案は科学的根拠に基づくものではない」と述べた。同州大気資源局(CARB)のメリー・ニコラス代表は「政府による力の誇示以外の何ものでもない。大気汚染防止の技術を培ってきたわれわれの努力が無にされるのを、ただ黙ってみているわけにはいかない」と政府の態度を厳しく批判し、新規制案の取り下げを求めた(「フレズノビー」9月24日)。

一方で、エタノール業界を代表する再生可能燃料協会(RFA)は、バイオ燃料であるエタノールの含有量を、現在一般車向けに流通している10%から、20~40%に上げることで、現行以上の厳しい基準をクリアすることが可能だという調査結果を引用し、ガソリン燃料の利用を推進する新規制案を歓迎した。

(注1)SAFE車両規則は、Safer Affordable Fuel-Efficient Vehicles Rule for Model Years 2021-2026 Passenger Cars and Light Trucksの略称。

(注2)メンバーはビッグスリーやトヨタを含む自動車メーカー12社。

(大原典子)

(米国)

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