ブラジルとチリのFTA交渉が終了、財が中心の既存協定を補完

(ブラジル、チリ)

サンパウロ発

2018年10月23日

ブラジル外務省は10月20日、チリとの間で行われていた自由貿易協定(FTA)交渉が10月19日に終了したと発表した。チリとは、ブラジルも参加する南米南部共同市場(メルコスール)として経済補完協定(ACE)35号(1996年に締結、発効)が存在する。今回の協定は財が中心の協定内容を補完する位置付けとなる。交渉は2018年4月に開始され、4回の会合を経て終了、協定の締結は年内に行われる見通しだ。ブラジル外務省では、メルコスールと太平洋同盟との関係緊密化に向けた取り組みの一環としている。

新しい協定の詳細は公表されていないが、サービス貿易、電子商取引、通信、衛生と植物防疫のための措置(SPS)、貿易の技術的障害、貿易円滑化、金融機関の投資、知的財産、中小・零細企業、グローバル・バリューチェーンなどのテーマが含まれるという。なお、チリとブラジルは投資協定に相当する「投資に関する協力・円滑化協定(ACFI)」を2015年11月に締結しているが、金融機関の投資は含まれておらず、今回の協定が補完する位置付けとなる。また、政府調達協定については、2018年4月に両国で締結している。

商工サービス省(MDIC)のデータによれば、2018年1~9月におけるブラジルのチリ向け輸出額は46億4,000万ドルで、国別5位に位置する。主要な品目をみると、上位から順に原油(シェア34.5%)、牛肉(6.3%)、自動車(5.9%)と続く。一方、輸入額は25億7,700万ドルで、国別11位となる。主要な品目は、精製銅または銅合金の塊(31.9%)、魚(14.3%)、銅鉱(9.9%)となっている。

(二宮康史)

(ブラジル、チリ)

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