大統領選挙の決選投票、ボルソナーロ候補が優位保つ

(ブラジル)

サンパウロ発

2018年10月22日

ブラジルで10月28日に大統領選挙と州知事選挙の決選投票が行われる。民間調査会社ダッタ・フォーリャが10月19日に発表した世論調査によれば、大統領選に関してジャイール・ボルソナーロ候補〔社会自由党(PSL)〕の支持率は50%と、フェルナンド・アダジ候補〔労働者党(PT)〕の35%を上回り、優位にある。白票・無効票は10%、分からないとの回答は5%だ。「この候補者には絶対に投票しない」とする拒否率でみても、アダジ候補の54%に対して、ボルソナーロ候補は41%と低く、優位にある。第1回投票で落選した主要な候補者はボルソナーロ氏への明確な支持を表明していないが、中道右派候補者(アウキミン候補、メイレーレス候補ら)へ投票した層の一部や、反PT票を実質的に取り込むかたちとなっている。

決選投票を約1週間後に控えた段階での結果をみる限り、大統領選ではボルソナーロ候補の優位に変化はない。しかし、その具体的な政策と実行能力という点では依然、不透明さが残る。ボルソナーロ候補の決選投票に向けた選挙公約をみると、「治安・汚職撲滅」「保健・教育」「経済・インフラ」の3本柱を示している。特に「経済・インフラ」では、経済関係4省庁の統合や、基礎的財政収支の赤字(注1)を政権1年目でゼロにし、2年目に黒字化することなどをうたっているが、一部の専門家からは非現実的との声も上がっている。

一方、州知事選の世論調査結果をみると、決選投票となったサンパウロ州知事選はジョアン・ドリア候補〔ブラジル社会民主党(PSDB)〕への支持率が44%、マルシオ・フランサ候補〔ブラジル社会主義者党(PSB)〕は40%で、接戦となっている(注2)。ドリア候補は大統領選に関して、明確にボルソナーロ候補への支持を表明し、票の取り込みを図る。一方、フランサ候補はいずれの候補者にも積極的な支持をあえて表明せず、中立のスタンスを示している。サンパウロ州のほかに決選投票が行われるのは、リオデジャネイロ州、ミナスジェライス州、連邦直轄区など合計で13州・1連邦直轄区となっている。

(注1)2019年予算法案では2019年の基礎的財政収支の赤字はGDP比1.8%、2020年は1.3%が見込まれている。

(注2)白票・無効票は9%、分からないとの回答は7%。

(二宮康史)

(ブラジル)

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