貿易手続き完全デジタル化へ、新貿易管理プラットフォームを開始

(シンガポール)

シンガポール発

2018年10月05日

シンガポール税関は9月26日、新しい貿易管理プラットフォーム「ネットワークド・トレード・プラットフォーム(NTP)」を開始した。同プラットフォームは、既存の輸出入業者向けシステム「トレードネット」と「トレードエクスチェンジ」に代わるものとして、2016年度予算案で初めて計画が示されていたもの。貿易手続きの全てをNTPに統合して、完全デジタル化することでペーパーレス化を目指す。

貿易手続きを新システムNTPに一元化

NTPはシンガポール税関、政府テクノロジー庁(GovTech)が、20の関係省庁の支援の下、開発したプラットフォーム。NTPの名称は、当初の「ナショナル・トレード・プラットフォーム」から、今回正式に「ネットワークド・トレード・プラットフォーム」へと変更された。

同プラットフォームでは、輸出入申告、審査、関税納付、許認可のみならず、船や保険の手配、各種支払いに関わるやり取りをシステム上で一元的にできる。現在、4つの官公庁が同プラットフォームに参画するほか、今後、数カ月以内にさらに3官公庁が追加される見込み。25社の第三者機関(銀行、保険、物流企業)と、約800社の輸出入会社が既に登録している。月額使用料は40シンガポール・ドル(約3,320円、Sドル、1Sドル=約83円)。

新プラットフォームの登録は、ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(https://www.ntp.gov.sg/)からできる。

シンガポール税関によれば、中国税関との間で同国シングルウインドーとの接続に関して協議するほか、オランダ税関とも貿易手続きに関して連携の可能性について模索しているという。

「ビジネス・タイムズ」紙(9月27日)によれば、産業界からは歓迎の声が上がっているようだ。ただし、周辺国の税関からは、手続きに際してオリジナル文書の提出を求められることもあり、「相手国によっては完全なペーパーレスのプロセスへ移行することはできない」との声もある。

(藤江秀樹)

(シンガポール)

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