2018会計年度の財政赤字は7,790億ドル、6年ぶりの高水準

(米国)

ニューヨーク発

2018年10月18日

米財務省が10月15日に発表した、2018会計年度(2017年10月~2018年9月)の連邦政府の歳入・歳出・財政収支PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2018会計年度の財政赤字は、前会計年度から1,132億ドル拡大して、7,790億ドル(GDP比3.9%)となった(表参照)。赤字幅は3年連続で拡大し、2012会計年度(1兆870億ドル)以来、6年ぶりの高水準となった。行政管理予算局(OMB)のミック・マルバニー局長は「議会による無責任で、不必要な支出によって悲惨な結果が生まれたことへの警鐘」で、今後、トランプ政権は「(景気回復に伴う)歳入増も取り込みつつ、赤字削減につながる緊縮策を含む困難な選択肢を、議会と協力してつくっていく」と述べた(ムニューシン財務長官・マルバニーOMB局長の声明文10月15日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

表 2018会計年度の歳入・歳出・財政収支

減税や財政支出拡大などの財政拡張策で収支が悪化

2018会計年度の歳入・歳出はともに過去最大となったが、赤字幅の拡大は、歳出の増加幅が歳入に比べて大きかったことによる。

歳入は、前会計年度から139億ドル増加(0.4%増)し、3兆3,287億ドルとなった。個人所得税(1兆6,835億ドル、6.1%増)や社会保険税・雇用保険税など(1兆1,707億ドル、0.8%増)は増加したものの、2017年末に成立した税制改革法に基づく減税措置の影響などにより、法人税が大きく減少(2,047億ドル、31.1%減)した。

歳出は、前会計年度から1,270億ドル増加(3.2%増)し、4兆1,077億ドルとなった。米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利引き上げなどを受けて金利上昇が進む中、純利払い費(3,247億ドル、23.6%増)が大きく増加した。これ以外に、社会保障費(9,878億ドル、4.5%増)や国防費(6,647億ドル、5.3%増)なども増加した。

米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」は同日付の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、税制改革法や2018年初めに成立した2018年超党派予算法(Bipartisan Budget Act of 2018)などの拡張的な財政政策がなければ、赤字幅は約2,640億ドル程度縮小し、5,150億ドル程度の赤字にとどまっていただろうと指摘する。また2019会計年度はそれぞれ、税制改革法により約2,280億ドル、2018年超党派予算法により約1,850億ドルの収支悪化につながり、赤字額は1兆ドルに届く可能性があると指摘している。

(権田直)

(米国)

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