バイエルン州議会選挙で与党CSUが大敗、過半数失う

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2018年10月16日

ドイツ南部のバイエルン州で10月14日、州議会選挙が行われた。メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党で、同州を地盤とするキリスト教社会同盟(CSU)の得票率は37.2%にとどまり、大敗した。2013年の前回選挙と比べて10.4ポイントの減少で、1950年に次いで2番目に低い得票率となった。CSUは単独で過半数の議席を獲得できなかったため、他の政党との連立交渉を開始することになる。

今回の投票率は72.4%と、前回から8.8ポイント上昇し、選挙への注目の高さをうかがわせた。得票率を政党別にみると、37.2%の与党CSUは大幅に得票率を落としたものの、引き続き第1党にとどまった(表1参照)。一方、躍進したのが環境政党の緑の党(Grüne)で、17.5%の得票率を獲得、前回を8.9ポイント上回った。また、自由な有権者(Freie Wähler、注)も2.6ポイント増の11.6%、リベラル政党の自由民主党(FDP)は1.8ポイント増の5.1%だった。また、今回初めてのバイエルン州議会選挙に参戦したポピュリズム政党のドイツのための選択肢(AfD)は10.2%の得票を獲得し、初めての議席を獲得した。なお、連邦政府でCDU/CSUと連立政権を組んでいる中道左派の社会民主党(SPD)は、ここ数年第2党だったものの、今回は得票率を10.9ポイント減少させ、9.7%で第5党に後退した。左派党は3.2%にとどまり、議席に必要な5%に達しなかった。

表1 バイエルン州議会選挙の政党別得票率(速報値)

議席数を政党別にみると、CSUが85議席となり、過半数の103議席を獲得できなかった(表2参照)。緑の党は38議席と前回から20議席増やし、第2党となった。自由な有権者は、27議席で第3党につけた。一方、SPDは20議席を失い、AfDと同じ22議席にとどまった。また、前回は議席を獲得できなかったFDPは11議席を獲得した。

メルケル政権にとって、この選挙結果が大きな痛手となることは必至だ。国内では、10月28日に中部ヘッセン州議会選挙、12月にはCDUの党大会が予定されている。

表2 バイエルン州議会の政党別議席数

(注)地域・コミュニティーを重視する政治グループ。保守色が強いとされる。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(ドイツ)

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