注目高まるバルト3国へ経済ミッションを派遣

(エストニア、ラトビア、リトアニア)

ワルシャワ発

2018年10月03日

ジェトロは9月3~8日、バルト3国の日本大使館、貿易投資機関(注)の協力の下、IT、デジタル、スタートアップなど先端分野の動向に焦点を当てたバルト3国経済ミッションを派遣した。商社、金融、IT、建設など23社36人(うち17人は日本から)が参加した。

バルト3国を比較すると、スタートアップ支援に力を入れる各国ではスタートアップビザの発給や会社設立にかかる時間を最短で数時間~1日程度とするなど制度面で類似する部分がみられるものの、特徴的な動きや強みを持つ分野がある。

エストニアでは、IDカードや電子署名を導入し99%の行政サービスを電子化する「電子政府」や、国外から会社設立・運営ができる「Eレジデンシー」の取り組みが最先端の動向として注目される。ミッションでは、電子政府の基盤となるプラットフォーム「Xロード」構築に技術面から携わるサイバーネティカを訪問した。

ラトビアでは、IT産業だけでなく、バルト3国最大の空港やEU加盟国で唯一モスクワとつながる鉄道など、周辺国との接続性の良さを生かしたロジスティクス、シェアードサービスセンター(SSC)などのビジネスサポートセンター機能の強みが強調された。また、世界で初めて人を運ぶドローンを開発するなど、ドローン分野でも革新的な動きがある。ミッションでは、風力発電機の翼など高所での洗浄を主な用途とし、200キログラムまで運ぶことができるドローン開発スタートアップのエアロネスを視察した。

リトアニアは、特にフィンテック、ブロックチェーンに力を入れており、リトアニア中央銀行がブロックチェーン分野でサンドボックスを設置(フィンテック分野は10月中旬から申請受付予定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、新技術やプロジェクトを実証する場としてイノベーションを促進している。ミッションでは世界中のブロックチェーンの起業家や開発者、投資家、規制当局をつなぐ欧州初の機関であるブロックチェーンセンター・ビリニュスを視察した。

写真 イベントスペースで実施されたエストニア電子政府についての説明の様子(ジェトロ撮影)

参加企業からは、「バルト3国を比較でき、その違いを肌で感じることができた」「具体的な投資先・連携先候補と対話を続ける」「今後も関係機関と連携して情報収集・交換を続ける」などの声があった。なお、本ミッションの内容については、ジェトロの国際ビジネス情報番組「世界は今」で10~11月に放送予定。

(注)エンタープライズ・エストニア、ラトビア投資開発公社、エンタープライズ・リトアニア

(深谷薫)

(エストニア、ラトビア、リトアニア)

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