中国の研究開発費、総額では世界2位も基礎研究の強化が課題

(中国)

北京発

2018年10月22日

国家統計局、科学技術部、財政部は10月9日、「2017年全国科学技術経費支出統計公報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を共同で発表した。2017年の中国の研究開発(R&D)支出額は、前年比12.3%増の1兆7,606億1,000万元(約28兆1,698億円、1元=約16円)に達し、伸び率は前年比で1.7ポイント拡大した。R&D経費投入強度(GDP比)は2.13%に達し、前年より0.02ポイント上昇した。

基礎研究の比率で先進国と大きな差

国家統計局社会科技・文化産業統計司の張鵬シニアエコノミストは、同公報を踏まえ、中国のR&D支出の特徴として以下の4点を挙げた。

  1. 米国との差が縮まった:中国のR&D支出額は2013年に初めて総額で世界2位になった。その際のR&D支出額は、世界1位の米国の約4割に相当する額だったが、2017年には6割に達する見通しだ。
  2. 2016年の増加額がOECD加盟国の増加額の合計を超えた:中国の2016年のR&D支出額は1,506億9,000万元増で、同年のOECD加盟国の増加額の合計(約973億7,000万元)の約1.5倍となった。
  3. 伸び率が世界トップレベルとなった:中国のR&D支出額の2013~2016年の年平均成長率は11.1%で、米国は2.7%、EUは2.3%、日本は0.6%だった。
  4. R&D経費投入強度が中位先進国のレベルに達した:中国の2016年のR&D経費投入強度は2.11%で、OECDの35加盟国と比べると、12位のフランス(2.25%)と13位のアイスランド(2.10%)の間となった。

また張氏は、中国のR&D支出額のうち基礎研究の占める比率が2017年は5.5%で、先進国の15.0~20.0%と比較すると大きな開きがあり、支出構造および資源配分がさらに改善される必要がある、と指摘した。

R&D支出額のGRP比では北京市が首位

R&D経費投入強度(R&D支出額のGRP比)を地域別にみると、2017年は中国のイノベーションを主導する北京市が5.64%で全国首位となり、全国平均値(2.13%)を3.51ポイント上回った。

なお、2017年のR&D支出額を地域別にみると、広東省の支出額が2,343億6,000万元となり、2年連続で全国1位だった。

(趙薇)

(中国)

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