米国の対ロ追加制裁、67%の在ロシア日系企業に影響

(ロシア)

モスクワ発

2018年10月03日

ジェトロは9月10~21日に、米国による対ロシア追加制裁の影響に関するアンケート調査を行った。本調査は在ロシア日系企業景況感調査(2018年10月1日記事参照)の枠内で実施したもの。対ロ経済制裁の影響については「直接的な影響あり」「間接的な影響あり」と回答した企業が全体の67%に上り、広範な企業に影響が生じていることが分かった(添付資料図1参照)。

「影響あり」と回答した企業に対し、影響の評価について聞いたところ「どちらかといえばマイナス」「マイナスの影響」が合計94%に達し、ほとんどの企業に悪影響が生じていることが判明した(添付資料図2参照、注)。主なコメントとしては、ルーブル為替レートの下落に関連するものが大半になっている(添付資料表1参照)。

「影響あり」と回答した企業に対し、具体的な影響について尋ねたところ、「売り上げ減少」を挙げる企業が63%に達した(添付資料図3参照)。「売り上げ減少」は、制裁やルーブル安に伴う消費者心理の悪化、購買力低下、制裁対象となった企業との取引の中断・ちゅうちょなどが背景にあるとみられる。それ以外では、「現地取引先の信用力悪化」15%、安全保障貿易管理の確認などを含む「貿易投資手続きなどの煩雑化・長期化」13%、「既存事業の縮小」13%などが続いた。「その他」については、「為替悪化・不安定化」「為替悪化による競争力の低下」「ルーブル下落による利益圧迫」「ルーブル安で買い入れコスト高」など、為替に関するコメントが多数みられた。

米国の対ロ追加制裁への対応策については、「制裁に関する情報収集強化」が43%と、「対応は特に実施していない」(41%)を上回り、多くの日系企業が注意を払っていることがうかがえる(添付資料表2参照)。

今回の調査は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、モスクワ周辺、サンクトペテルブルク周辺、沿ボルガ地域などに所在する日系企業250社を対象に実施し、63社から回答を得た(同一企業による別拠点回答を含む)。

(注)各数値は小数点以下を四捨五入しているため、図にある内訳の数値の合計と必ずしも一致しない。

(齋藤寛)

(ロシア)

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