モロッコ政府、2019年度財政法案の概要を発表

(モロッコ)

ラバト発

2018年10月23日

モロッコの2019年度(2019年1~12月)の財政法案概要が、10月10日にモハメッド6世国王主催の閣議で発表された。財政法案は例年なら7月下旬に発表されるが(2018年8月29日記事)、2019年度の予算規模は10月中に発表される見込みだ。

閣議でベンシャブーン経済・財政相は、同法案概要の重要事項4点を発表した。1点目は教育や健康、雇用を含む社会政策の優先で、特に青少年の職業訓練や社会・経済への参加を促す教育システムの強化、市民の保健サービスへのアクセス改善、社会保障政策の再構築、地域間格差の縮小を挙げた。2点目は、対内投資を促進する新しい投資憲章の早急な導入、地域投資センターの改革、企業風土の改善や中小企業などの支援策の策定。3点目は、先進的な地方分権の実現、司法改革などの組織的な構造改革。4点目は、財政赤字の削減、厳格な債務管理によるマクロ経済の安定化だ。

また閣議で、国王は経済・財政相に対し、資金繰りに悩む公社や企業が倒産することなく、借入金や金利、負債を支払うことができるよう対策を取るよう求めた。経済・財政相は、幾つかの公社の再編を行うと回答し、公社の活動目的と内容、支出を見直し、合理的に公社を再編することを提案した。

国王が、企業などへの付加価値税(VAT)還付の遅延について経済・財政相にただしたところ、金融機関との提携を通してVATを還付すること、また、VAT還付によって国家予算は今後10年程度は影響を受けるだろうとの説明があった。

(本田貴子)

(モロッコ)

ビジネス短信 67c5a187bf0661df