EC決済代行のアイペイ88が無料のEC講座を開講

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年10月09日

マレーシアの電子商取引(EC)決済代行大手アイペイ88(iPay88)は8月27日、個人や中小企業を対象にしたECビジネスに関する無料講座「アイペイ88アカデミー」を開校、9月19日に開講した。EC、電子決済、デジタルマーケティング、越境ECの4コースがあり、EC以外は2019年に開講予定という。

マレーシア政府は、ECを含むデジタル経済の発展を重視している。国際貿易産業省(MITI)によると、ECのGDPに占める割合を、2016年の6.1%から2020年までに11.9%に押し上げることを目標としている。

EC事業者の増加が目的

アイペイ88アカデミーは、マレーシアデジタル経済公社(MDEC)などの政府機関と提携し、販売事業者のEC利用を加速させるという国家目標を支援する。同アカデミー設立は、アイペイ88のCSR活動の一環で、教育の重要性を重んじる共同創業者のチャン・コック・ロン氏の思いも込められている。

マネジャーのシャリファ・ジュリア氏は「ECビジネスを始める前の初心者も対象としていることが特徴」と話す。開講したECコースは、初級編から上級編までの5講座を月1回程度実施する。1講座の定員は25人で、一部の講座は既に2カ月先まで予約が埋まっているという。

同アカデミーは複数の大学とも提携しており、コース内容を大学の授業計画に導入することにしている。ECビジネスに関する専門的な人材を養成し、雇用促進につなげる狙いがある。

写真 講座の様子(アイペイ88アカデミー提供)

消費動向に変化も

アカデミーのトレーナーのモハマド・ユスリ氏に、マレーシアのEC市場の傾向を聞いたところ、「市場規模は拡大しており、消費にも変化が表れている」という。以前は価格の安さを重視する消費者が多かったが、最近は大型家電など高額商品の購入も増え、追加料金を支払って当日配送を選ぶ消費者も一般的になりつつあるそうだ。

ECでの買い物に、驚きや新鮮さを求める消費者も現れており、例えば、「商品の包装や購入者へのギフトなどサービスをするECサイトが人気を集めている」という。拡大するECビジネスにおいてデジタルマーケティングの重要性が高まっているとして、同アカデミーでもデジタルマーケティング専門のコースを開講する予定だ。

(田中麻理)

(マレーシア)

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