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NAFTA新協定(USMCA)に合意、3カ国間の枠組みを維持

(米国、カナダ、メキシコ)

ニューヨーク発

2018年10月02日

トランプ大統領は10月1日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の妥結を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。米国とカナダ間の合意が9月30日深夜に成立外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、メキシコを含めた3カ国間の貿易協定が維持された。新協定の名称は「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA:United States-Mexico-Canada Agreement)」になった。

米通商代表部(USTR)が公表したUSMCAの協定文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは34章(序章を除く)の条文(注1)と、投資・金融サービス・国有企業に関する付属文書、個別の約束事項などを記載したサイドレターで構成されている。

トランプ大統領は、USMCAの合意の意義として、(1)労働者保護、デジタル経済、特許、金融サービスなどの分野で高水準の合意が成立したこと、(2)メキシコとカナダが労働・環境・知的財産の保護に関する新たな合意を受け入れたこと、(3)米国の農家や酪農家に対するメキシコとカナダの市場アクセスを改善したことなどを挙げた。

カナダも232条の数量割当を受け入れる

トランプ大統領は自動車分野について、米国市場への無税での輸出は「特権(privilege)」であると強調し、企業がこの特権を享受するためには、原産地比率(現行62.5%)の75%への引き上げや、時給16ドル以上の高賃金の労働者による生産比率(40~45%)など、USMCAが定めた要件を満たす必要があると述べた。「現協定の下では外国企業が、海外から多くの部品をメキシコやカナダに送り、これらの国で完成車を組み立てることで、外国製の車を無税で米国に輸出している」とし、USMCAはこうした「抜け穴(loopholes)」を全て封じるとしている。

このほか、米国はサイドレターにおいて、1962年通商拡大法232条(以下、232条)に基づく自動車・同部品への追加関税を発動する場合、メキシコとカナダからの輸入については、ライトトラックと年間260万台までの乗用車の関税賦課を対象外とすると約束している。自動車部品については、メキシコからの輸入は年間1,080億ドルまで、カナダからの輸入は324億ドルまでを対象外とした。また、同関税の発動後最低60日間は協議期間として両国への関税賦課は行わないとした。一方、カナダとメキシコ政府は、232条に基づく米国の追加関税発動や輸入制限が現行NAFTAやUSMCAおよびWTOのルールに整合的でない場合には、対抗措置を取ることやWTOに提訴する権限を留保した。

なお、232条に基づき米国政府が鉄鋼とアルミニウム製品に賦課している追加関税については、トランプ大統領は「鉄鋼産業を米国から消滅させるわけにはいかない」として、メキシコとカナダが数量割当などの手段で合意するまで関税を維持する考えを示している。

米国政府は、「大統領貿易促進権限(TPA)法(注2)」のスケジュールに基づき、11月末にUSMCAの協定文に署名する見込みだ。

(注1)34章の内訳は、「冒頭条項と一般定義」「内国民待遇と物品市場アクセス」「農業」「原産地規則(品目別含む)」「原産地証明手続き」「繊維・アパレル」、「税関・貿易円滑化」「炭化水素に関するメキシコ政府の直接的・不可分・法令に拘束されない所有権に対する承認」「衛生植物検疫措置」「貿易救済措置」「貿易の技術的障害」「分野別付属書」「政府調達」「投資」「越境サービス」「一時入国」「金融サービス」「通信」「デジタル貿易」「知的財産」「競争政策」「国有企業」「労働」「環境」「中小企業」「競争力」「腐敗防止」「良い規制慣行」「公表と運営」「運営・制度条項」「紛争解決」「例外と一般条項」「マクロ経済政策と為替条項」「最終規定」。

(注2)米国憲法では外国との通商関係は議会が管轄しているが、TPA法は、この通商交渉に関する権限を大統領に一時的に付与するもの。TPAが大統領に与えられている場合、議会に対する報告・相談義務など、TPA法に定められた目的や手続きにのっとって政権がまとめた通商協定法案は、議会で修正を受けずに賛否のみの採決に付すことができる。

(鈴木敦)

(米国、カナダ、メキシコ)

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