政策金利を5.75%に引き上げ、市場は好感

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年10月02日

インドネシア中央銀行(BI)は9月27日、前日から行われた幹部会合で、政策金利を0.25ポイント引き上げ5.75%とした。利上げは2018年で5回目。米国連邦準備銀行(FRB)の金利引き上げに対応する動きで、市場関係者の予想の範囲内だった。市場は好意的に反応し、同日のインドネシア株価指数は0.93%上昇した。

為替のボラティリティー抑制のための金融取引導入

BIは金利引き上げに合わせて、新たにDNDF(ドメスティック・ノンデリバラブル・フォワード)取引の導入を決定した。BIのプレスリリースによると、DNDF取引とは、取引者間で決定した通貨レートと、決済日の実勢レートとの差額を現地通貨建て(ルピア建て)で取引する為替予約の一種で、インドネシア国内のみで利用できる。為替のボラティリティーを抑制する効果があるとされる。

今回の決定について、インドネシア経済改革センター(CORE)エコノミストのピーター・アブドゥラ氏は地元紙で、「利上げによって外貨流出の防止効果を期待できるが、貸出金利の上昇による実体経済への影響も注視すべき」と述べた。DNDFの導入については、インドネシア経営者協会(APINDO)のハリヤディ・スカムダニ会長が、「企業が負担する為替リスクの軽減につながる」と好意的なコメントを述べる一方で、インドネシア商工会議所(KADIN)のシンタ・カムダニ副会頭は、「利用を検討するかは実際の制度運用の状況による」と慎重な姿勢を示すなど、関係者の間で評価が分かれている。

通貨ルピアは9月27日時点で1ドル=1万4,919ルピアをつけ、年初からの下落率は8.97%となっている。

(山城武伸)

(インドネシア)

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