第3四半期GDP成長率は前年同期比2.6%、市場予想を上回る

(シンガポール)

シンガポール発

2018年10月17日

貿易産業省(MTI)は10月12日、2018年第3四半期のシンガポールの実質GDP成長率(速報値)は前年同期比2.6%と発表した(表参照)。第2四半期の4.1%から減速したものの、市場予想は上回った。前期比年率(季節調整済み)では4.7%と、第2四半期の1.2%を3.5ポイント上回った。

表 シンガポールの実質GDP成長率の推移

分野別にGDPをみると、製造業が前年同期比4.5%増と、第2四半期の10.6%増から6.1ポイント減だった。エレクトロニクス、バイオメディカル製造、輸送エンジニアリング部門の生産拡大が製造業のプラス成長を支えた。また、サービス業は前年同期比2.9%増と堅調に推移した。これは、金融・保険、ビジネスサービス、卸売り・小売り部門が好調だったことが要因だ。他方、建設分野は、公共部門の需要低迷が継続し、3.1%減だった。

2019年にかけ緩やかながら、堅調な成長を予測

通貨金融庁(MAS、中央銀行に相当)は同日、金融政策見直しの発表で「国内経済は、2018年から2019年にかけて緩やかながら堅調に成長する」との見通しを示した。「これまで国際経済が比較的堅調だった」と述べた一方で、一部の主要国の貿易紛争が与えるリスクと不透明さを指摘した上で、「国際経済が大きく後退しない限り、国内経済は2019年の潜在成長率の水準近くまで成長する」とした。

さらに、国内経済活動の牽引役が製造業からサービス業にシフトしていると指摘した。これは、製造業では世界的にエレクトロニクス製品の需要が一段落したことが背景にある。一方で、金融、ビジネスサービス、卸売り・小売りに牽引されるかたちでサービス業は堅調に推移すると述べた。

同庁は、2018年通年の実質GDP成長率を「前年比2.5~3.5%」の予測レンジの「中央からやや上付近」との予測を示し、2019年については、「2018年に比べてわずかに軟化する」との見込みを示した。

なお、MTIは、2018年第3四半期の実質GDP成長率の改定値を11月に発表する予定だ。

(源卓也)

(シンガポール)

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