外国直接投資30年で成果、課題は技術移転

(ベトナム)

ハノイ発

2018年10月15日

計画投資省は10月4日、ハノイ市内で外国直接投資(FDI)30周年を記念したカンファレンスを開催し、ベトナム国内外から多くの企業および関係機関が参加した。

ベトナムは1986年に「ドイモイ(刷新)政策」を採用し、社会主義国でありながらも市場経済原理を取り入れるなど経済変革を開始した。その流れを受けて、1988年に外国投資法が施行され、FDIを受け入れ始めてから2018年で30年を迎える。

フック首相がカンファレンスで講演

計画投資省によると、2018年8月末時点でFDIの認可件数は2万6,646件、認可総資本額は3,340億ドルに達し、近年ではGDP全体の20%近くを占めている。グエン・スアン・フック首相はカンファレンスの講演で、FDI企業の取り組みがGDP平均成長率6.5%の安定成長に寄与し、国内雇用や輸出の増加など、ベトナム経済に多大な貢献をしていると評価した。

FDI企業からの技術移転には課題

一方、フック首相は、FDI企業から国内企業への技術移転が不十分で、ベトナム国内での人材育成や高付加価値品の製造が促進されていない点を指摘した。

ベトナム政府は、2018年7月1日に新技術移転法(07/2017/QH14)を施行し、技術移転を推進している。ベトナムで生産できない製品の技術移転に対して、税制面での優遇措置を設けるとともに、ベトナムへの技術移転の登録が義務化され、科学技術省により技術移転内容や移転価格の検証が行われるようになっている。

フック首相は今後のFDIの方針として、ハイテク産業の誘致による国内産業と人材の育成、地場企業とFDI企業の合弁企業設立を奨励し、ベトナムへの技術移転を促すとともに、移転価格の監視体制を強化することなどを明言した。

写真 カンファレンスで講演するフック首相(ジェトロ撮影)

(柴田知賢)

(ベトナム)

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