9月の輸出額は前年同月比2.2%減、輸入額は10.5%増

(インド)

チェンナイ発

2018年10月31日

インド商工省が10月15日に発表した2018年9月の貿易統計(速報値)によると、輸出額は前年同月比2.2%減の279億5,000万ドル、輸入額は10.5%増の419億3,000万ドルとなった。輸出額が前年同月比で減少したのは、2018年度初めて。また、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は139億8,000万ドルの赤字となり、前年同月の赤字額(94億ドル)から48.8%拡大した。一方、前月の赤字額(173億9,000万ドル)からは19.6%縮小し、4月の137億1,600万ドル以来、5カ月ぶりの低水準となった。

輸出額の上位2品目である石油製品、宝石・宝飾品以外の品目の輸出額は198億ドルで、前年同月の203億1,000万ドルと比べ2.5%減少した。主な輸出品目では、有機・無機化学品が前年同月比16.9%増、医薬品・精製化学品が3.8%増、綿糸・布・手織品などが3.6%増、合成樹脂・プラスチック材が28.2%増と伸びた。

原油・石油製品の輸入額は33.6%増

最大の輸入品目である原油・石油製品の輸入額は109億1,000万ドルで、前年同月の81億7,000万ドルと比べ33.6%増加となった。原油の国際価格が前年同月比で43.0%上昇したことが背景にある。原油・石油製品以外の輸入額は310億2,000万ドルで、前年同月の297億9,000万ドルから4.1%増加した。主な輸入品目では、電子機器が前年同月比11.4%増、機械・器具が4.2%増、金が51.5%増、石炭が23.6%増と伸びた。

輸出額の減少は一時的となる見込み

9月の輸出額が前年同月比で減少に転じた背景には、物品・サービス税(GST)導入に伴う税還付制度の改定により、前年9月に輸出額が急増した影響がある。インドには、輸出用製品の部材輸入時にかかる関税について、完成品輸出後に申請することで還付を受けられる制度がある。GSTが導入された10月1日からは還付率の引き下げが決まっていたため、制度改定直前の駆け込み輸出が増大したとみられている。

商工省のアヌプ・ワダワン次官は、9月の輸出額の減少について「一時的なものであり、10月以降の輸出額は再び増加するだろう」との見方を示した(「ビジネス・トゥデイ」紙10月16日)。

(榎堀秀耶)

(インド)

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