NAFTA再交渉の合意をメキシコはおおむね歓迎

(メキシコ、米国、カナダ)

メキシコ発

2018年10月02日

9月30日に米国とカナダの間で合意に至った北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉について、メキシコの政府や業界団体はおおむね歓迎のコメントを発表している。

イルデフォンソ・グアハルド経済相は10月1日、大手テレビ局テレビサのインタビュー番組に出演し、「北米にとって良い一日となった。新NAFTAは新しい時代の協定だ」と再交渉の合意を評価した。また、この協定は保護主義的な協定かと問われ、「自由貿易に最も重要な関税の適用なしや輸入割当の適用なしは守ることができた。原産地規則は厳しくなったが、日本がアジア諸国と結び付きを強めているように、各地域が地域的な結束を強め、それぞれ競争力を高めているのは世界的にみても同じことだ」とした。さらに、米国の通商拡大法232条はどのように影響するかと問われたところ、11月末に新協定に署名するまでに適用除外となるよう交渉していくと述べ、新協定への署名は11月29日にG20の会合が行われるブエノスアイレスで行われるのではとの見通しを示した。

ルイス・ビデガライ外相も「メキシコにとって良い日となった。今回の合意はポジティブだ」と評価した。また、「新協定が調印される前に鉄鋼・アルミの問題を解決するべく月曜日に議論を開始するだろう」とコメントした(「レフォルマ」紙10月1日)。

メキシコ新政権のNAFTA首席交渉官ヘスス・セアデ氏も「新NAFTAはメキシコと北米のビジネスに安定性をもたらすだろう」とツイッターでコメントを発表した。

日本の経団連に相当する企業家調整評議会(CCE)の交渉戦略委員会コーディネーターのモイセス・カラチ氏は「競争力のある北米のサプライチェーンや、インフラ関連の外国企業の投資は保護される。メキシコは国際的な協定を尊重する」と強調した。

さらに、全国経営者連合会(COPARMEX)のグスタボ・デ・オジョ会長は「原産地規則がこれまでよりも厳しくなったため、多くの自動車関連企業がサプライチェーンの再構築を迫られるだろう。短期的には新規投資が行われるかどうか大きな挑戦になる。ただし長期的にみれば北米で生産される品物が優先されるということはメキシコにとって都合がよいだろう」と述べ、自動車産業にとっては対応を迫られることを認めながらも、好意的なコメントを残した(同紙)。

(岩田理)

(メキシコ、米国、カナダ)

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