メイ首相、保守党大会演説で政府のブレグジット方針を堅持

(英国)

ロンドン発

2018年10月04日

英国バーミンガムで9月30日から開催されていた与党・保守党大会が10月3日、閉会した。テレーザ・メイ首相は最後の演説で、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴うEUとの交渉で、国益にかなう合意を目指す決意を強調し、党員に対して支持を訴えた。

メイ首相は、単一市場・関税同盟への残留、または北アイルランドとグレートブリテン島の間に異なる関税制度を導入する可能性を残すEUの提案はいずれも、英国が離脱の条件とする独自の通商政策や、北アイルランドとグレートブリテン島との一体性に反するとあらためて説明。国境での通関手続きが必要のないシームレスな通商を実現する英国政府の提案(2018年9月21日記事参照)を繰り返した。演説の前には、メイ政権がアイルランドとの国境問題解決について新たな提案を発表する可能性も報じられていたが、言及はなかった。

メイ首相は、国益に沿わない合意なら、合意なき離脱(ノー・ディール)を選択するとの姿勢を崩していない。ドミニク・ラーブEU離脱担当相も、党大会のサイドイベントで交渉妥結への楽観的な見通しを示しながらも、ノー・ディールの可能性は否定できないと言及し、政府はその準備を進めていることを念押しした。フィリップ・ハモンド財務相も演説で、ノー・ディールになれば、強力な財政出動で景気を下支えすると明言した。

保守党内のEU離脱強硬派からは、大会を通して政府方針への批判が続いた(2018年10月1日記事参照)。ボリス・ジョンソン前外相は10月2日、大勢の聴衆の前で演説し、メイ首相は政府方針を破棄すべきだと強い口調で訴えた。しかし、会期中は政府案を支持する有力議員らの発言も相次ぎ、メイ首相は離脱強硬派からの攻勢を乗り切った格好だ。

メイ首相や閣僚、離脱強硬派とも、労働党が選択肢に残す2回目の国民投票を明確に否定し、2019年3月29日に確実に離脱することを強調した。離脱まで半年を切り、メイ政権は大詰めの交渉に臨む。

(宮崎拓)

(英国)

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