メイ首相、英国の離脱方針の正当性を強調

(英国、EU)

ロンドン発

2018年09月21日

9月20日に開催された非公式の欧州理事会(EU首脳会議)におけるブレグジット(英国のEU離脱)に関する協議では、EUとしての現状認識が示され(2018年9月21日記事参照)、各国首脳らからは重苦しい発言が相次いだ。

テレーザ・メイ英首相は会議後の記者会見にて、「北アイルランドとアイルランドとの国境にハードボーダーを設けないことが保証されなければならない。そして、それは英国の統一を維持するかたちで実現される必要がある」と語った。そのためには「国境で(通関手続きなどの)摩擦のないモノの移動が実現されなければならず、現時点で提示されている方針は、(英国政府がブレグジット後のEUとの将来関係を提案した)白書に記されたものだけだ」とし、EU側が反対する関税徴収の仕組みなどを含む英国側の具体的な提案の正当性を強調した。その一方で、ロイターやブルームバーグはメイ首相が国境問題について近く新たな提案を提案すると報じている。

また、メイ首相は「(EU・英国の双方に)交渉を成功させる意思があると確信しているが、私はこれまでも『ノー・ディール(合意なき離脱)の準備を進めている』と言い続けていることを明確にしたい」と付け加え、白書の提案が受け入れられなければノー・ディールを選択するとの考えに揺るぎがないことをあらためて示した。ただし、「ノー・ディールの可能性は高まったか」との記者からの質問に対しては「良い合意に向けた作業を続けている」と述べるにとどめた。

かねて英国に対する姿勢の軟化が伝えられていたドイツのアンゲラ・メルケル首相は会見にて、英国の白書が交渉の土台として有効なものだと認めつつも、「10月までに十分な進展が必要だ。その上で11月に最終合意することを目指す」とコメントした。また、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「EUの結束に害を与えるような合意を受け入れることはない」と強調し、英国の提案のうち、モノの貿易に限って事実上の単一市場へのアクセスを求めている部分が問題視されていることをあらためて浮き彫りにした。

英国内では、保守党の離脱強硬派ジェイコブ・リース・モグ下院議員が、「チェッカーズ(合意による英国政府の離脱案)は破綻した」と短くツイートした。9月30日から開催される保守党大会は、さらに波乱が増すとみられる。

(宮崎拓)

(英国、EU)

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