メキシコ電力市場改革に基づく初の民間発電所が操業開始

(メキシコ、スペイン)

メキシコ発

2018年09月12日

スペインのエネルギー事業大手アクシオナ(Acciona)は9月3日、メキシコ北東部タマウリパス州で183メガワット(MW)の風力発電所の運営を開始したと発表した。2013年末の憲法改正以降に実施された電力市場改革で創設された電力卸売市場(MEM)における、第1回長期電力競売(2017年12月25日付地域・分析レポート参照)で獲得した電力供給契約に基づき、建設されたもので、同改革後初の民間発電所の操業開始となる。

操業を開始したエル・コルティホ(El Cortijo)発電所は、タマウリパス州の国境都市レイノサから40キロ南に位置する場所に、15カ月をかけて建設された。3MWの発電能力を持つ風車が61機あり、合計35万戸の家庭に電力を供給する。二酸化炭素(CO2)の排出削減効果は42万9,000トンに達する。アクシオナは、オアハカ州にも計557MWの風力発電設備を有し、メキシコ国内の風力発電応力は今回の操業開始で合計740MWとなる。さらに、MEMの第2回長期電力競売で落札した契約に基づき、北東部ソノラ州に404MWの発電能力を持つ太陽光発電所を建設中で、2019年第1四半期に操業開始の予定だ。

風力と太陽光の発電能力が急増

エネルギー省によると、2017年時点の再生可能エネルギー発電能力は1万9,437MWと、国内発電能力全体の25.7%を占める。再生可能エネルギーによる発電量は5万1,542ギガワット時(GWh)で、同年の国内総発電量の15.7%を占める。国内発電能力に占めるシェアが高いのは水力発電(16.7%)だが、近年は風力発電(5.5%)と太陽光発電(0.9%)の能力拡充が目立つ。2017年の風力発電能力は4,199MWで前年比12.4%増、太陽光は673.7MWで73.4%増となっており、クリーンエネルギー発電能力全体の伸び(5.4%増)を大きく上回る(表参照)。MEMの長期電力競売で契約を獲得した企業の発電所が今後、続々と操業を開始するため、再生可能エネルギー発電能力はこれからも増加することが見込まれる。

表 メキシコの発電源別発電能力・発電量(2017年)

(中畑貴雄)

(メキシコ、スペイン)

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