広東省、先進国レベルを目標に基礎研究を強化

(中国)

広州発

2018年09月27日

広東省政府は9月15日、「広東省の基礎・応用基礎研究強化に関する若干の意見」(粤府〔2018〕77号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。国務院の「基礎科学研究の全面的強化に関する若干の意見」(国発〔2018〕4号)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに基づき、基礎・応用研究を強化し、オリジナルイノベーションを生み出す能力の向上を図る。

意見の背景には、広東省はイノベーションについての総合的能力は全国1位であるものの、基礎・応用研究の能力は不足しているとの認識がある。習近平国家主席が広東省について「産業全体のレベルは依然として低く、低付加価値産業の比重が高い。科学技術イノベーションの駆動力を強化する必要がある。コア技術、キーデバイス、重要設備などは他者のコントロール下にある」と述べたことも要因となっている。

意見の戦略的位置付けとして、高等教育機関と研究所を主力、企業を新たな力として国際科学の最先端および戦略的に重要な分野を狙う。また、コア技術のレベルアップ、世界トップの科学技術・イノベーションチームの建設などを通じ、全国トップレベルの基礎科学研究センターと、グローバルな影響力のあるオリジナルイノベーショントップを形成する。「広東・香港・マカオグレートベイエリア(粤港澳大湾区)」の国際科学技術イノベーションセンター建設を支える。

基礎研究者6万人を目指す

2022年までに、基礎科学研究の新システムを構築し、管理体制・メカニズムをさらに完全なものとし、開放・協力の新たな局面を形成する。基礎研究費を研究開発費の8.5%以上とし、国の自然科学基金の支援額で全国トップ3となる。省レベルのラボラトリーを10カ所程度、大規模な科学実験装置を3カ所程度、国家レベルのイノベーションプラットフォームを20カ所以上設立する。基礎研究者を6万人以上、研究開発者の7.5%以上とする。

2035年までに、幾つかの重要な基礎および応用研究の分野で全国トップとなり、全国のレベルと国際的影響力を大幅に向上させる。国際的トップレベルのラボラトリーと科学研究機関、世界トップレベルの大学と研究機関を設立する。

21世紀中ごろには、基礎科学研究の総合的実力を先進国レベルとし、重要なオリジナルイノベーション成果の供給力を著しく高め、中国および世界の科学技術への貢献度を大幅に向上させる。中国が世界の主な科学技術センターを作り上げるに当たり、重要な一角となり、世界の「科学技術強国」になる支えとなるとしている。

(河野円洋)

(中国)

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